入院給付金に相続税はかかる?受取人別の課税判定と医療費控除の差引を相続専門税理士が解説
四十九日を過ぎたころ、保険会社から入院給付金の振込通知が届く。相続の現場では、そう珍しくない場面です。生命保険と相続税の関係のなかでも見落とされやすいところ。金額は数十万円ということも多く死亡保険金にくらべると目立ちません。ところが相続税の申告では、この給付金が死亡保険金とはまったく別の扱いになります。500万円の非課税枠の出番はありません。
さらに準確定申告では、入金された給付金を医療費から差し引く処理が待っています。相続税と所得税の両方にまたがる話。片方だけ見ていると漏れます。
この記事で分かること
- 入院給付金の課税関係は、受取人が誰かと、いつ受け取ったかの組み合わせで決まること
- 被相続人が受取人だった給付金は本来の相続財産になり、500万円の非課税枠が使えないこと
- 準確定申告の医療費控除では、入金された給付金をその医療費から差し引くこと
- 相続放棄をすると受け取れなくなる給付金があること
- 請求権が3年で時効消滅するため、早めに手続きが要ること
目次
1. 入院給付金に相続税がかかるかどうかの結論
結論から書きます。入院給付金に相続税がかかるのは、受取人が被相続人本人になっていて、その給付金が亡くなった後に支払われたときです。受取人が配偶者や子なら、相続税も所得税も贈与税もかかりません。
判断の材料は保険証券と保険金支払明細書。まず手元の書類で受取人を確かめる。話はそこから。
1-1. 入院給付金とは何かという定義と支払いの仕組み
入院給付金は、被保険者が病気やケガで入院したときに、入院日数に応じて支払われるお金です。日額5,000円や1万円といった単価を決めておき、そこに入院日数を掛けて、支払額を計算する商品が、長らく主流でした。近ごろは1回の入院につき一時金でまとめて支払う型も増えました。支払いのもとになる契約は、医療保険やがん保険の主契約であることもあれば、終身保険や定期保険に付けた入院特約であることもあります。
1-2. 保険事故の違いで分かれる死亡保険金の区別

保険金が支払われる引き金になる出来事のことを保険事故と呼びます。
死亡保険金の保険事故は被保険者の死亡です。入院給付金の保険事故は、死亡を伴わない病気やケガ。ここで枝が分かれます。
同じ証券から、同じ保険会社を通じて、同じ日に振り込まれたとしても、税務上は別の財産として扱われます。振込元が一緒だから同じ扱いになる、とはなりません。
1-3. 疾病入院給付金や手術給付金などの特約の位置づけ
保険金支払明細書には、支払われた項目が種類ごとに並んでいます。
- 疾病入院給付金
- 災害入院給付金
- 手術給付金
- 通院給付金
- 先進医療給付金
この明細の内訳こそ、税務上の区分けの材料。
明細を見ずに振込額の合計だけを死亡保険金として拾ってしまうと、非課税枠の使い方を間違えます。相続税の申告書を作る前に、必ず内訳まで確認してください。
関連記事:死亡保険金の税金は3種類・金額別シミュレーションと確定申告の要否を相続専門税理士が解説
2. 受取人と受取時期の組み合わせによる課税判定
判定に使う軸は2つだけ。受取人が被相続人本人か、それとも配偶者や子などの親族か。そして、給付金を受け取ったのが生前か死亡後か。この2つを掛け合わせて4通り。
| 受取人 | 時期 | 税金 | 財産の扱い |
|---|---|---|---|
| 本人 | 生前 | なし | 使い残しが現預金として相続財産に |
| 本人 | 死亡後 | 相続税 | 未収入金として本来の相続財産に |
| 親族 | 生前 | なし | 受取人固有の財産で相続財産にならない |
| 親族 | 死亡後 | なし | 受取人固有の財産で相続財産にならない |

2-1. 受取人と受取時期で変わる4つの課税パターン
表のとおり、相続税がかかるのは右上の1マスだけです。
残りの3マスには、所得税も贈与税もかかりません。ただ、税金がかからないことと、相続財産に入らないことは別の話。本人が生前に受け取った給付金は非課税ですが、使わずに口座へ残っていれば預貯金として課税価格に入ります。
2-2. 受取人が被相続人本人であるケース
医療保険の給付金は、受取人を被保険者本人としている契約がほとんどです。被保険者が自分の治療費にあてるためのお金。そういう設計になっています。被相続人が被保険者で、かつ受取人。この形のまま死亡後に振り込まれた給付金が相続税の対象になります。
2-3. 配偶者や子が受取人の場合に三税がかからない理由
根拠は所得税法にあります。身体の傷害に基因して支払われる保険金や給付金は非課税とされていて(所得税法9条1項18号、所得税法施行令30条1号)、この非課税は本人が受け取る場合を前提にしています。では家族が受け取ったらどうなるか。所得税基本通達9-20が、受け取る人が被保険者の配偶者もしくは直系血族、または生計を一にするその他の親族であれば、同じく非課税として扱うと定めています。妻や子、同居の親が受取人なら、この通達で拾われます。
しかも、受取人固有の財産なので被相続人の相続財産にもなりません。相続税も所得税も贈与税も出てきません。
2-4. 生計を一にしない親族以外への支払いと所得税
反対に、通達で拾われない人が受け取ると非課税の枠から外れます。たとえば別居して生計も別の甥や姪、それに内縁のパートナー。この場合は一時所得として所得税の対象になる余地があります。
もっとも、入院給付金の受取人に第三者を指定できる商品はかなり限られます。実務で出会うことは多くありません。

相続専門税理士 藤本のチェックポイント
ご相談いただくなかで、保険会社から届いた振込明細を1枚しかご覧になっていない方がとても多いんです。死亡保険金と入院給付金が同じ日に同じ口座へ入ると、合計額だけが記憶に残ってしまうんですね。明細の内訳欄と、証券の受取人欄。この2か所、並べて見ていただくと課税関係はだいたい見えてきます。ご不安なときは、書類を持ってご相談くださいね。
3. 死亡後に支払われた入院給付金の未収入金としての計上
生命保険金の非課税枠は、法定相続人1人あたり500万円。よく知られた規定ですね。ところが入院給付金には、この枠がまったく届きません。理由は範囲の絞り込みにあります。非課税枠が使える財産は、法律ではっきり限定されました。
3-1. 相続税法基本通達3-7が示す未収入金の取扱い
相続税法3条1項1号は、被相続人が保険料を負担していた生命保険契約の死亡保険金を、みなし相続財産として課税対象にしています。500万円の非課税枠は、このみなし相続財産にだけ用意された枠。
そして、相続税法基本通達3-7がこの「保険金」の範囲をはっきり区切っています。3条1項1号の保険金とは死亡を保険事故として支払われる死亡保険金に限られ、被保険者の傷害や疾病など死亡を伴わないものを保険事故として支払われる給付金は、被保険者の死亡後に支払われたものであっても含まれない。通達はそう書いています。
同じ通達には注書きが付いています。
相続税法基本通達3-7の注書き
そうした給付金が被保険者の死亡後に支払われた場合には、被保険者である被相続人の本来の相続財産になる。
国税庁は、ここまで書き切っています。
3-2. 500万円の非課税枠が適用されない理由
みなし相続財産ではなく本来の相続財産。この区分の違いが、そのまま非課税枠の可否につながります。枠はみなし相続財産のうち死亡保険金に対して設けられたものなので、本来の相続財産である入院給付金には最初から当たりません。
死亡日の時点でまだ振り込まれていない給付金は、保険会社に対する請求権として未収入金に計上します。金額は、その後に実際に支払われた額を使う。これが実務の扱いです。
比較事例:死亡保険金と入院給付金で課税価格はどう変わるか
8月に亡くなった78歳のお父さま。相続人は奥さまと長女の2人です。生命保険の非課税枠は500万円×2人で1,000万円です。
- 死亡保険金 1,200万円 → 非課税枠1,000万円を控除して、課税価格に入るのは200万円
- 入院給付金 48万円(日額1万円×48日、死亡の9日後に入金、受取人はお父さま本人)→ 全額が課税価格に
課税価格に入る保険関係の合計は248万円。
このケースのポイントは、48万円が非課税枠の残りにぶつからないことです。枠は死亡保険金の1,200万円に対してすでに使い切られていて、入院給付金はそもそも枠の対象外。同じ保険会社の同じ証券から出たお金でも扱いが分かれます。

3-3. 本来の相続財産という区分が持つ意味
区分の違いは、税額の計算だけにとどまりません。
死亡保険金は受取人固有の財産なので遺産分割の対象になりません。一方、本来の相続財産である入院給付金は、預貯金や不動産と同じく遺産分割協議の対象。
分割協議書に給付金の記載が抜けていると後から誰の取り分かで揉めることがあります。金額が小さくても、財産目録には必ず載せてください。
関連記事:生命保険に相続税はかからない?非課税枠500万円を相続専門税理士が解説
参考:第3条《相続又は遺贈により取得したものとみなす場合》関係(国税庁)
4. 生前に受け取った入院給付金の相続開始時点での残高
被相続人が生前に受け取っていた入院給付金には所得税がかかりません。ここは死亡後に受け取った場合と同じ。問題は、そのお金がどこへ行ったかにあります。
4-1. 所得税が非課税となる根拠と受取人の範囲
非課税の根拠は、先ほどの所得税法9条1項18号と所得税法施行令30条1号。対象になるのは、身体の傷害に基因して支払を受けるもの。給付金を受け取ったことで所得税の申告義務が生まれることはありません。
なお、いわゆる死亡保険金はこの非課税から外れます。同じ保険から出るお金でも、死亡に対して支払われるものは別扱いになります。
4-2. 使い残した給付金が現預金に変わる瞬間
治療費に使い切っていれば、相続開始の時点で残高はゼロ。何も起きません。ところが給付金が高額療養費の還付と重なって、口座に手つかずで残っているケースがけっこうあります。
その残高は、もう入院給付金という顔をしていません。相続開始日の預貯金残高の一部としてそのまま課税価格に入ります。給付金だから非課税、という理屈は通りません。
生命保険を活用した相続対策
相続専門の税理士に
ご相談ください
受付時間 平日 10:00〜17:00
4-3. 余命6か月以内で使えるリビング・ニーズ特約の扱い
リビング・ニーズ特約は、余命6か月以内と診断された場合に、死亡保険金の一部または全部を、生前に受け取れる仕組みです。上限は3,000万円で、受取人は被保険者本人。国税庁は質疑応答事例で、この生前給付金を非課税所得として扱って差し支えないとしています。前倒しで受け取った以上、死亡保険金はその分だけ減額されます。そして受け取ったお金が使われずに残っていれば、預貯金として相続財産に入る。死亡保険金として受け取っていれば非課税枠を使えたのに、生前に受け取ったために枠が使えなくなる。この逆転が起きます。

相続専門税理士 藤本のチェックポイント
病院のベッドサイドでご家族と話しているとリビング・ニーズの請求を進めるかどうかで迷われる場面に出会います。ご本人の療養費や、ご家族が付き添うための費用にあてるなら、前倒しで受け取る意味は大きいと思います。ただ、使う当てがないまま口座に置いておくと、税金の面ではもったいない結果になりがちです。何に使うかを決めてから請求する。そのくらいの順番で十分ですよ。
5. 準確定申告の医療費控除から差し引く入院給付金
準確定申告は、亡くなった人のその年の所得を相続人が申告する手続きです。期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内。通常の確定申告より短く、相続税の申告期限より先に来ます。
この申告で医療費控除を使うとき入院給付金が正面から効いてきます。相続税と所得税をまたぐ、いちばん差が出る場面。
5-1. 死亡日を境に分かれる医療費控除の対象
医療費控除は、支払った日を基準に帰属先が決まります。
| 支払時期 | 支払った人 | 控除先 |
|---|---|---|
| 死亡日まで | 被相続人 | 準確定申告の医療費控除 |
| 死亡後 | 生計一の親族 | その親族の確定申告で医療費控除 |
| 死亡後 | 相続人 | 相続税の債務控除(未払医療費として計上) |
診療を受けた日ではなく、支払った日で切る。ここを取り違えると、控除先が丸ごとずれます。
5-2. 入金された入院給付金と医療費との差引手順
準確定申告の医療費控除では、支払った医療費から保険金などで補填される金額を差し引きます。入院給付金や高額療養費が、まさにこの補填金にあたります。迷いやすいのが、給付金の入金が死亡後になった場合。死亡日の翌日以後に入金された給付金であっても、それが死亡日までに支払った入院費を補填するものであれば、準確定申告の医療費から差し引きます。入金日ではなく、どの医療費を埋めるためのお金かで判断する、という考え方になります。
関連記事:準確定申告とは?必要な人・期限・必要書類・書き方を相続専門税理士が解説
5-3. 給付金が医療費を上回る場合の差引の限度
差引には限度があります。
補填金を差し引けるのは、その給付の目的となった医療費の金額まで。

入院給付金が入院費を上回ってもはみ出た分を外来の治療費や薬代から差し引かなくてかまいません。
国税庁の質疑応答事例でも、支払った入院費を超える部分の入院給付金を歯の治療費から差し引かなくてよい、と明示されています。根拠は所得税法73条1項。
計算事例:準確定申告で入院給付金を差し引く
5月20日に亡くなったお母さまの準確定申告です。総所得金額等は240万円としました。
- 1月1日から5月20日までに支払った医療費 38万円(うち入院費 26万円、外来と薬代 12万円)
- 6月10日に入金された入院給付金 31万円(受取人はお母さま本人)
差し引く金額は、入院費の26万円が限度。31万円との差額5万円は、外来と薬代の12万円からは引きません。
医療費控除の対象額=38万円 - 26万円 - 10万円 = 2万円
一方で、この31万円は死亡後に支払われた給付金なので、未収入金として相続税の課税価格にも入ります。所得税で差し引き、相続税で計上する。1つの給付金が2か所に顔を出します。
5-4. 亡くなった後に相続人が払った医療費と債務控除
死亡日の翌日以後に病院へ支払った分は被相続人の医療費控除に入りません。亡くなった後に本人が支払うことはできません。
支払ったのが生計を一にしていた親族ならその人自身の確定申告で医療費控除の対象になります。加えて、被相続人が残した未払医療費として相続税の債務控除も使えます。所得税と相続税、両方で拾える珍しい場面。

相続専門税理士 藤本のチェックポイント
「入院給付金は準確定申告と相続税、どちらで処理すればいいですか」というご質問をよくいただきます。答えはどちらもです。医療費控除では補填金として差し引き、相続税では未収入金として計上する。二重課税のように見えて、性格の違う2つの処理なんですね。片方だけで完結させてしまうと、あとから訂正が必要になります。
参考:No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)(国税庁)
6. 差引漏れが後から表面化する場面と訂正手続き
差引漏れは、悪意のない申告からも生まれます。いちばん多いのは、期限の順番が原因になるパターン。
6-1. 補填金が未確定のまま申告する場合の見込額処理
準確定申告の期限は4か月。保険会社への請求から支払いまでに時間がかかると、期限までに給付金の額が固まらないことがあります。このとき申告を止めなくてかまいません。保険金等の額を見積もり、その見積額を支払った医療費から差し引いて申告します。後日、確定額が見積額と違っていたときは、遡ってその年分の医療費控除額を訂正する扱いです。所得税基本通達73-10が根拠になります。
失敗事例:給付金の入金前に準確定申告を出した
9月に亡くなったお父さまの準確定申告を期限内の翌年1月に提出したケースです。提出の時点で入院給付金は請求中。金額が確定していませんでした。担当された方は給付金をゼロとして医療費控除を計算し、そのまま申告。3か月後に42万円が入金されました。
結果、医療費控除が過大になり修正申告が必要に。さらに相続税の申告でも、この42万円の未収入金が漏れていました。2つの申告をやり直すことになります。
どうすれば防げたか。請求時に保険会社へ支払見込額を照会し、見積額で差し引いて申告しておけば、修正の手間はぐっと小さくなりました。給付金の請求は、準確定申告より先に着手するのが安全です。
6-2. 修正申告と更正の請求を分ける判断
訂正の方向は、見積額と確定額のどちらが大きいかで決まります。
確定額が見積額より多かったとき、差し引く補填金が増えるので医療費控除は減り、税額は増えます。この場合は修正申告。反対に、確定額が見積額より少なければ控除が増えて税額は減るので更正の請求になります。更正の請求ができる期間は、原則として法定申告期限から5年。
6-3. 税務署が保険金の支払いを把握する経路
生命保険会社には、一定の保険金や給付金について支払調書を税務署へ提出する義務があります。申告内容と資料を突き合わせる仕組みがあるという事実は押さえておいてください。ただし、入院給付金そのものがどの金額から調書に載るのか、様式や閾値までは公開情報で確認できませんでした。入院給付金は必ず把握される、と断定はしません。把握されるかどうかを気にするより明細どおりに申告しておくほうが結果的に早く済みます。
参考:No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)(国税庁)
7. 相続放棄と入院給付金の受取判断
相続放棄をすると、はじめから相続人でなかったものとして扱われます。申述の期限は、相続の開始があったことを知ったときから3か月。一度受理された放棄は撤回できません。
7-1. 相続放棄をすると受け取れなくなる給付金
受取人が被相続人本人だった入院給付金は本来の相続財産にあたります。
放棄をすればプラスの財産も引き継がないので、この給付金は受け取れなくなります。
7-2. 死亡保険金と入院給付金で分かれる受取の可否
死亡保険金は受取人固有の財産なので放棄をしても受け取れます。入院給付金は被相続人の財産なので受け取れません。同じ証券から出るお金で結論が真逆になる、数少ない場面。
なお相続税の計算では放棄をした人が死亡保険金を受け取ると500万円の非課税枠を使えません。放棄と保険金の関係は、それだけで1本の論点になります。
7-3. 民法921条1号の処分に当たるおそれ
放棄を考えている段階で入院給付金を請求して受け取ると、相続財産の処分にあたる可能性が出てきます。
民法921条1号は、相続人が相続財産の全部または一部を処分したときを法定単純承認の事由としています。
処分にあたるかどうかは、事情によって判断が分かれる領域。判例の射程が入院給付金の受領にどこまで及ぶかは確認できていないため、断定は避けます。放棄を検討しているなら、給付金の請求ボタンを押す前に弁護士や税理士へ相談してください。順番を間違えると、取り返しがつきません。
関連記事:相続放棄と生命保険 500万円の非課税枠が使えない注意点を税理士が解説
8. 給付金の請求から相続税申告での計上までの流れ
手続きの入り口は保険会社への連絡。ここが遅れると、準確定申告も相続税申告も後ろにずれます。
8-1. 保険会社への連絡と請求に必要な書類
連絡すると請求書類一式が送られてきます。求められるのは次のあたりです。
請求時に求められる書類
- 給付金請求書
- 入院証明書または診断書
- 入院期間と診療内容がわかる領収書
- 被保険者との関係がわかる戸籍謄本
- 請求者の本人確認書類
診断書は病院に作成を依頼するため手元に届くまで2週間前後かかることもあります。
8-2. 請求権が消滅してしまう3年の時効と早期請求

保険給付を請求する権利は行使できるときから3年間行使しないと時効によって消滅します。根拠は保険法95条1項。
3年あるなら急がなくてもよさそうに見えます。ところが相続の実務では、準確定申告の4か月、相続税申告の10か月という短い期限が先に来ます。時効までの3年は、実質的にはほとんど余裕になりません。
8-3. 特約分の請求漏れを防ぐ契約内容の確認
請求漏れが起きやすいのは、主契約ではなく特約のほう。
- 手術給付金
- 通院給付金
- 先進医療給付金
- 女性疾病特約
証券を見ても特約名だけが並んでいて何が請求できるのか分かりにくい書き方になっています。
保険会社のコールセンターに証券番号を伝え請求できる特約をすべて挙げてもらう。この一手間で漏れは大きく減ります。

相続専門税理士 藤本のチェックポイント
3年という時効の数字だけが独り歩きして請求を後回しにされる方がいらっしゃいます。でも、実際に困るのは時効ではなく10か月の相続税申告期限に間に合わないことのほうなんです。給付金の額が決まらないと、課税価格が固まりません。四十九日が済んだころに保険会社へ一本お電話を、とご案内しています。
8-4. 相続税申告書での計上先と添付すべき資料の確認
死亡後に支払われた入院給付金は、死亡保険金の明細書ではなく、その他の財産として第11表に計上します。財産の種類は未収入金、または現金預貯金等。申告書を作るときに保険金の欄へ書いてしまうと、非課税枠の計算がずれます。
添付資料として、保険金支払明細書と入院給付金の支払通知書を用意しておくと、税務署からの照会に落ち着いて対応できます。
関連記事:死亡保険金の受取人は誰にすべき?3つの選び方を相続専門税理士が解説
生命保険を活用した相続対策
相続専門の税理士に
ご相談ください
受付時間 平日 10:00〜17:00
まとめ
保険金にかかる税金の全体像のなかで、入院給付金の課税関係は受取人と受取時期の2軸で決まります。
被相続人本人が受取人で、死亡後に支払われたものだけが相続税の対象。しかも本来の相続財産なので、500万円の非課税枠は使えません。
準確定申告では、その給付金を医療費から差し引きます。差引の限度は、給付の目的となった医療費まで。相続税と所得税の両方に顔を出す財産なのでどちらか一方だけを見ていると必ず漏れます。
金額が小さく見えても、申告書の計上先を間違えると全体の計算が狂います。手元の保険金支払明細書を開いて受取人欄を確かめるところから始めてください。
よくある質問
病気やケガで入院したときに、入院日数や一時金の形で支払われるお金です。医療保険やがん保険の主契約、生命保険に付けた入院特約から支払われます。死亡を伴わない病気やケガが保険事故になる点で、死亡保険金と区別されます。
受取人が被相続人本人だった場合は非課税になりません。未収入金として本来の相続財産に計上したうえで相続税の課税価格に入ります。受取人が配偶者や子であれば、受取人固有の財産となり相続税も所得税もかかりません。
使えません。500万円の非課税枠は、みなし相続財産である死亡保険金に用意されたものです。入院給付金は本来の相続財産にあたるので非課税枠の対象から外れます。相続税法基本通達3-7が根拠になります。
その給付の目的となった医療費の金額が限度です。入院給付金が入院費を上回ってもはみ出た分を外来の治療費などから差し引かなくてかまいません。申告時に金額が確定していなければ見積額で差し引いて後から訂正します。
準確定申告では医療費控除が過大になり修正申告が必要になります。相続税の申告でも未収入金の計上漏れとなり追加の税額と加算税が生じることがあります。給付金は請求から入金まで時間がかかるため早めの着手が安全です。