ほふり(証券保管振替機構)への開示請求とは?費用・必要書類・期間を相続専門税理士が解説
亡くなった方の部屋から、証券会社の封筒が1通だけ出てきた。通帳をさかのぼっても配当金らしき入金は見当たらず、パソコンにもネット取引の痕跡がない。こういう状態から株式を探し出すときの最後の手段が、証券保管振替機構(通称ほふり)への開示請求です。相続税の申告では有価証券の申告漏れが指摘されやすく、探し方が分からないまま、10か月の申告期限だけが近づいていく。そういうご相談も珍しくありません。
ただ、この制度は万能ではありません。分かるのは口座がある証券会社や信託銀行の名前だけで、銘柄も残高も出てきません。しかも有料で、2026年10月1日から金額が上がります。
この記事では、ほふりへの開示請求で何が分かり、何が分からないのか。いくら払って、何を送るのか。そこを整理したうえで、開示結果を受け取ったあと申告までにどう動くかまで踏み込みます。手続きの説明で終わらせないのが、この記事の狙い。
この記事で分かること
- ほふりの開示請求で分かる情報と、分からない情報の線引き
- 請求できる7つの区分と、続柄ごとに必要になる戸籍謄本等
- 2026年10月1日に改定される開示費用と、改定前後を分ける基準
- 郵送での申込みから結果が届くまでにかかる期間の目安
- 開示結果を受け取ったあと、相続税の申告に向けて進める調査
目次
ほふり(証券保管振替機構)への開示請求の基本
株券の電子化とほふりが担う役割
紙の株券は、もうありません。平成21年1月5日の株券電子化で、上場会社の株式等に係る株券はすべて廃止されました。株主としての権利はほふりと証券会社等の金融機関に開設された口座へ記録される形に切り替わりました。
このとき生まれたのが、ほふりを頂点とする階層構造です。投資家は証券会社や信託銀行(口座管理機関)に口座を持ち、その口座管理機関がほふりにつながっている。だからほふりが握っているのは「誰がどの口座管理機関に口座を持っているか」という情報。それ以上の細かい中身は、各口座管理機関の側にしかありません。

開示請求で出てくる情報の範囲が、この構造でおおよそ決まります。
証券会社が分からないときの最終手段
相続で株式を探すとき、最初に見るのは郵便物です。取引報告書、運用報告書、株主総会の招集通知、配当金計算書。次にさかのぼるのは通帳の入出金。1年分ほど見て、配当金の入金や証券会社への振込がないかを確認します。
それでも何も出てこないときに使うのが、ほふりへの開示請求です。順番としては最後。郵便物や通帳で先に当たりがついているなら、その証券会社へ直接問い合わせたほうが早いですし、お金もかかりません。
なお、ほふりという略称は「保管振替」の略。正式名称は株式会社証券保管振替機構で、この記事で扱う手続きの正式な呼び方は「登録済加入者情報の開示請求」です。
根拠となる個人情報保護法33条の開示請求権
この請求の根拠は、証券の振替制度を定めた法律ではありません。根拠は個人情報保護法33条の開示請求権です。ほふりが保有している自分(または被相続人)の個人データを開示してもらう。そういう建て付けですね。
費用が発生するのも同じ法律からで、38条2項が実費を勘案して合理的と認められる範囲内で手数料を定められると規定しています。事務処理にかかった実費を請求者が負担する、という考え方。無料にならない理由は、ここにあります。
開示請求で分かる情報と分からない情報
口座がある証券会社・信託銀行等の一覧
開示請求をすると「登録済加入者情報通知書」が届きます。そこに載るのは、振替株式等の口座が開設されている証券会社・信託銀行等の一覧と、担保の受入れ・差入れに関する情報です。
対象になる振替株式等の範囲は広めです。金融商品取引所に上場されている内国株式、新株予約権、新株予約権付社債、投資口(REIT)、協同組織金融機関の優先出資、投資信託受益権(ETF)、受益証券発行信託受益権(JDR)など。所定の要件を満たす非上場株式等も対象。
銘柄名と保有残高が分からない仕組み上の理由
一方で、期待されがちなのに出てこない情報があります。銘柄名も保有残高も取引履歴も、開示されません。
| 項目 | 開示結果での扱い |
|---|---|
| 開設先 | 口座がある証券会社・信託銀行等の名称が分かる |
| 担保情報 | 担保の受入れ・差入れに関する情報が分かる |
| 銘柄名 | 分からない |
| 保有残高 | 分からない |
| 取引履歴 | 分からない |
| 対象外 | 外国株式・国債・社債などは機構の取扱対象外 |

理由は1-1で見た構造にあります。誰が何をいくつ持っているかという明細を管理しているのは口座管理機関である証券会社や信託銀行の側で、ほふりが握っているのは、その1段上の「口座がある/ない」という情報だけです。だから残高を知るには、開示結果に出てきた各社へあらためて問い合わせるしかありません。
証券保管振替機構での登録内容と時点のずれ
もう1つ、見落とされやすい制約があります。開示されるのは、開示の時点で口座が開設されている先。過去の口座がすべて時系列で出てくるわけではありません。
たとえば亡くなったあとにご家族が解約していた口座は、開示結果に載らない可能性があります。相続手続きの一部が先に進んでいたケースで起こりがち。

相続専門税理士 藤本のチェックポイント
ご相談いただくなかで、開示結果に何も載っていなかったから株はなかったと判断されてしまう方が、とても多いんですよ。載るのは請求した時点で口座がある先だけ。郵便物や通帳の入金も、あわせて見ていきましょうね。
対象外になる外国株式・国債・社債
機構の取扱対象でないものは、そもそも開示のしようがありません。外国株式、国債、社債、取扱対象外の非上場株式。これらの開設先は、開示結果から分かりません。
別ルートの話も1つだけ。NISA口座で株式数比例配分方式を選べない、という形で発覚することがある特別口座。こちらは証券会社を経由して開示請求を申し込めます。機構への直接請求とは別の入口。
関連記事:相続時口座照会制度とは?分かること・手数料・申込の流れを相続専門税理士が解説
請求できる人と続柄別に必要な書類
請求できる7つの区分と相続人1名の原則
請求できるのは、本人、本人の法定代理人、本人の任意代理人、法定相続人、法定相続人の法定代理人、法定相続人の任意代理人、遺言執行者の7区分です。相続の場面で使うのは、たいてい法定相続人か遺言執行者でしょう。
ここで安心していただきたいのが、法定相続人が複数いても、そのうち1名で請求できるという点です。全員の同意も署名も要りません。遺産分割の話し合いが進んでいない段階でも、財産調査だけは先に動かせます。
法定相続情報一覧図を提出するメリット
法定相続人として請求するときに求められるのは、被相続人との続柄を示す戸籍謄本等。ここで法定相続情報一覧図の写しのコピーを使えると、提出物はぐっと軽くなります。
一覧図は法務局が認証文を付けて無料で交付してくれる書類で、戸除籍謄本等の束の代わりになります。相続税の申告や預金の払戻しにも通用するので、1通取っておけば何度も戸籍を出し直さずに済みます。
さらにもう1つ。一覧図の被相続人の「最後の住所」欄に開示を希望する住所が記載されていれば、その住所については住所確認書類も兼ねられます。提出書類が1点減る、というわけですね。
一覧図がない場合の続柄別の戸籍謄本
一覧図を用意できないときは、続柄に応じた戸籍謄本等を集めることになります。続柄が遠くなるほど、集める戸籍は増えていく。
| 続柄 | 必要となる戸籍謄本等(すべてコピー) |
|---|---|
| 配偶者・子 | 相続人の現在の戸籍謄本または抄本+被相続人の死亡日の記載のある除籍謄本 |
| 親 | 相続人の現在の戸籍+被相続人の出生から死亡までの連続した改製原戸籍・除籍・戸籍謄本+(子がいる場合)子の死亡日の記載のある除籍謄本または相続放棄の証明書 |
| 兄弟姉妹 | 上記「親」の書類一式+被相続人の親の死亡日の記載のある除籍謄本または相続放棄の証明書 |
| 孫 | 代襲相続。相続人の現在の戸籍+被相続人の死亡日の記載のある除籍謄本+被相続人の子(相続人の親)の死亡日の記載のある除籍謄本 |
| 甥・姪 | 代襲相続。上記「兄弟姉妹」の書類一式+被相続人の兄弟姉妹(相続人の親)の死亡日の記載のある除籍謄本 |
集める順番や読み方でつまずきやすいところは、相続に必要な戸籍謄本の記事で詳しく書いています。
全ページのコピー提出という落丁の落とし穴
書類がそろっていても、出し方で止まることがあります。開示請求書と機構指定様式の委任状を除き、提出書類はすべてコピーです。原本は受け付けてもらえず、出したものも返ってきません。一定期間の保管を経て破棄されます。
そして最大の落とし穴が、これ。戸籍謄本の一部のページだけをコピーして出すと、落丁として不備扱いになります。
失敗事例:戸籍のコピー漏れで結果到着が2か月に
中村さん(仮名)は、お父様の相続でほふりへ開示請求をしました。用意した除籍謄本は4枚つづり。死亡の記載があるのは1枚目。だからその1枚だけをコピーして同封しました。
数週間後、事務センターから不備の連絡が届きます。あらためて4枚すべてをコピーし直して再送。開示結果が手元に届いたのは、最初に投函した日から数えて2か月後でした。証券会社に残高証明書を頼み始めたのは申告期限まで残り3か月、という時点です。
どうすれば防げたか。綴じられた戸籍は、記載が何もないように見えるページも含めて全ページをコピーする。これだけです。もっと言えば、先に法定相続情報一覧図さえ取得しておけば戸籍の束そのものを送らずに済みました。
ほかにも、「年金用」など利用目的が記載された戸籍謄本等は使えません。関係のない書類を念のためと大量に添えるのも逆効果。確認に時間がかかるぶん、結果の到着が遅れます。現姓と旧姓の両方で調べたいときは姓ごとに開示請求書を1枚ずつ、と分けて作りましょう。
関連記事:法定相続情報一覧図とは?取得方法・必要書類・書き方を相続専門税理士が解説
開示費用の一覧と2026年10月の改定内容
証券保管振替機構への開示請求にかかる費用
手数料は請求者の区分で変わります。法定相続人の請求では、法定相続情報一覧図を出すかどうかでも金額が動くため、下の表では「図あり」「図なし」と略しました。金額はすべて税込。
- 被相続人の住所確認書類として、住民票の除票、戸籍の附票、被相続人宛の株式関係書類(議決権行使書、配当金計算書等)、請求者の本人確認書類のいずれかも必要です。
- 有効期限が切れていても構いません。
- 戸籍の本籍欄の記載は住所の確認にはなりません。
| 区分 | 〜2026/9/30 | 2026/10/1〜 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 本人 | 4,400円 | 6,050円 | +1,650円 |
| 遺言執行者 | 6,050円 | 6,050円 | 据え置き |
| 図あり | 4,950円 | 6,050円 | +1,100円 |
| 図なし | 6,050円 | 7,700円 | +1,650円 |

同一の株主について複数の調査対象を同時に請求すると、2件目以降は1件あたり1,100円(税込)が加算されます。調査対象は氏名と住所の組合せごとに1件。この加算額は今回の改定では変わりません。
先にお伝えしておきたいことが、もう1つ。該当する口座がなくても、開示費用はかかります。 空振りだったから返金、とはなりません。心当たりのある証券会社を先に当たる。この順番が結局はいちばん安く済みます。
改定前と改定後を分ける郵便の消印日
どちらの料金が適用されるかは、書類の日付でも、機構に届いた日でもありません。同一の株主に関する初回の開示請求書の提出を目的として送った郵便の、消印日で判定されます。
具体的に見ていきましょう。2026年9月30日の消印で初回分を投函すれば、書類不備で10月1日以降に追加提出することになっても、適用されるのは改定前の金額です。逆に、旧料金が印字された請求書を使っても、日付欄に9月30日以前と書いても、初回の消印が10月1日以降なら改定後の金額になります。

相続専門税理士 藤本のチェックポイント
2026年10月1日。この日を境に、本人の請求は4,400円から6,050円へ変わります。書類のめどが立っているなら、9月のうちに投函できないか一度考えてみてもいいと思いますよ。
一覧図あり6,050円・なし7,700円の内訳
改定後、法定相続人の請求は一覧図の有無で6,050円と7,700円に分かれます。改定前の差額は1,100円でしたから、差額は1,100円から1,650円へ広がります。
一覧図の取得自体は無料です。戸籍を集める手間はかかりますが、どのみち相続手続きのどこかで必要になる作業。開示請求のためだけに取るかどうかで迷っている方は、この差額を判断材料にしてみてください。
比較事例:投函時期と一覧図の有無で費用はどう変わるか
被相続人:山下多喜子さん(仮名)。相続人は長女と次女の2人で、長女が請求者になります。転居前の住所でも取引していた可能性があるため、現住所と前住所の2件を同時に請求します。
- ケースA:2026年9月28日の消印・一覧図あり → 4,950円+1,100円=6,050円
- ケースB:2026年10月5日の消印・一覧図あり → 6,050円+1,100円=7,150円
- ケースC:2026年10月5日の消印・一覧図なし → 7,700円+1,100円=8,800円
AとBの差が1,100円、BとCの差が1,650円。同じ調査をしても、投函のタイミングと一覧図の有無で2,750円変わります。このケースのポイントは2つ。2件目の加算額1,100円は改定の影響を受けず、改定後は一覧図の有無のほうが金額差として大きくなります。
代金引換で支払う受取時の精算方法
支払いは前払いではありません。開示結果の「登録済加入者情報通知書」は、郵便局の代金引換サービス(簡易書留)で届きます。受け取るときに郵便局員へ費用を払う流れです。
通知書の送付先は、請求者の本人確認書類に記載された住所。勤務先や実家など、別の場所は指定できません。しかも請求者の都合で返送されてしまうと、原則として再送はされません。長期の出張や入院の予定があるなら投函の時期を調整しておくほうが安全です。
参考:登録済加入者情報の開示請求に係る費用改定のお知らせ(証券保管振替機構)
相続税の申告でお悩みの方へ
相続専門の税理士に
ご相談ください
受付時間 平日 10:00〜17:00
郵送での申込みから結果到着までの流れ
郵便局留の記載漏れによる到着の遅れ
申込みは郵送だけ。窓口の受付はありませんし、電話で回答をもらうこともできません。開示請求書は、機構のサイトからExcelをダウンロードして記入する方式。印刷して手書きでも構いません。
送り先はこちらです。
- 〒103-0026 日本橋茅場町郵便局留 東京都中央区日本橋兜町7番1号 KABUTO ONE 株式会社証券保管振替機構 開示請求事務センター
宛名で気をつけたいのが「日本橋茅場町郵便局留」の一文です。これを書かないと、到着が遅れます。住所とビル名が合っていれば届くだろう、と省略してしまう方がいるのですが、機構の受付そのものが局留を前提にした仕組みだからです。
不備がなくても1か月ほどかかる所要期間
期間の見通しも立てておきましょう。書類に不備がなくても、受付から開示結果の送付までは1か月ほどかかります。混み合っている時期は、さらに延びる。不備があれば、そこから相当の時間を要します。
機構の公式サイトにも、大変混み合っている旨の掲示が出ています。3週間ほどで届くという情報も見かけますが、計画は1か月以上で立てておくほうが安全です。

受付後にキャンセルできない一発勝負
受付後のキャンセルはできません。 手続きを止めたくなっても、費用の支払いは発生します。機構自身も、心当たりのある証券会社があるなら先に確認するよう明記しています。

相続専門税理士 藤本のチェックポイント
申告期限まであと2か月、というタイミングで開示請求のご相談をいただいたことがあります。結果が届いたのは期限の3週間前。そこから証券会社に残高証明書を頼んで、評価して、と、ずいぶん慌ただしくなりました。財産の全体像がまだ見えない段階でも、心当たりがないなら早めに投函しておくほうが落ち着いて進められますよ。
相続税の申告期限10か月から逆算する着手時期
相続税の申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月です。ここから逆算してみましょう。
開示結果が届くまでに1か月。そこから各証券会社へ残高証明書を請求すると、受け取りまでにさらに2週間から1か月ほどかかります。評価計算をして、遺産分割の話し合いをまとめて、申告書を作る。こう並べると、開示請求は遅くとも相続開始から4か月から5か月のあいだには投函しておきたいところです。相続手続きの流れのなかでは、かなり早い段階に位置づけられます。
参考:ご本人又は亡くなった方の株式等に係る口座の開設先を確認したい場合(証券保管振替機構)
開示結果を受け取った後に進める調査

各証券会社へ請求する死亡日現在の残高証明書
開示結果に名前が出てきた証券会社・信託銀行へ、1社ずつ連絡していきます。依頼するのは死亡日現在の残高証明書(預り証明書)です。相続税の申告に要る情報がまとまっていることが多く、評価計算の出発点になります。
必要書類も手数料も、会社ごとにばらばら。戸籍の範囲も、原本を返してもらえるかも差があるので、依頼の前に電話で確認しておくと二度手間が減ります。
特定口座に預けていない株式が見つかったら、配当金通知書や招集通知といった郵送物もあわせて確認してください。銘柄の手がかりが残っています。
投資信託は解約価額での証明書依頼
投資信託やその他の金融商品が含まれていたら、証明書の依頼の仕方に1つコツがあります。基準価額ではなく、解約価額で出してもらうことです。
相続税の評価で見るのは、その日に解約したら手元にいくら入るか。基準価額だけの証明書をもらうと、あとから解約価額を出し直してもらうことになり、余計に時間がかかります。最初の依頼で伝えておきましょう。
非上場株式が出てきたら、話が変わります。過去3期分の決算書と税務申告書が必要になるうえ評価の作業量も一気に増えるので、早めに専門家へ相談したい領域です。
上場株式の評価に使う4つの価額の最低額
上場株式の相続税評価額は、次の4つのうち最も低い価額を使います。
| 価額 | 内容 |
|---|---|
| ① | 課税時期(死亡日)の最終価格 |
| ② | 死亡日の属する月の毎日の最終価格の月平均額 |
| ③ | 死亡日の属する月の前月の毎日の最終価格の月平均額 |
| ④ | 死亡日の属する月の前々月の毎日の最終価格の月平均額 |
2つ以上の金融商品取引所に上場している銘柄なら、どの取引所の価格を使うかは相続人が選べます。課税時期に最終価格がないときは、前後で最も近い日の最終価格。両方にあれば、その平均を取ります。端株は配当金明細書に載っていることが多いので、そこから拾います。外国株式は相続開始日のTTBで円換算します。
不動産のほうがまだ全部つかめていない、という段階なら、名寄帳で市区町村ごとの所有一覧を取る方法も。相続税の申告では、不動産の評価も避けて通れません。
関連記事:名寄帳とは?相続での使い方・取得方法・見方を税理士が解説
参考:上場株式の評価(国税庁)
開示請求では見つからない財産の盲点
被相続人名義から外れた名義株
開示請求で調べられるのは、被相続人名義の口座です。家族の名前で買われた株、いわゆる名義株は、この網にかかりません。
名義株かどうかの判断軸は、預金と同じ。買ったお金は誰が出したか。管理と運用をしていたのは誰か。名義人はもらったという認識を持っていたか。この3つで見ていきます。名義が家族でも実質が被相続人のものだと判断されれば、被相続人の財産として申告が必要になります。
考え方の詳細は名義預金の記事で整理しています。株式でも判断の軸は変わりません。

相続専門税理士 藤本のチェックポイント
お子さんやお孫さんの名前で買った株、心当たりはありませんか。お金を出したのは誰だったか、証券会社からの郵便物はどこへ届いていたか。まずはこの2つを思い出してみてくださいね。
配当金計算書や議決権行使書という手がかり
名義株や、機構の取扱対象外の株式を探す手がかりは、やはり郵便物です。配当金計算書、配当金領収証、株主総会の議決権行使書、株主優待の案内。これらは株主名簿に登録された住所へ届きます。
株券電子化のときにほふりへ預けなかった株式は、発行会社が信託銀行等に開設した特別口座で管理されていて、この特別口座にある株式も配当金計算書などの郵便物から見つかることがよくあります。年に1回か2回しか届かない書類です。亡くなってからの数か月ぶんだけでなく、古い郵便物まで遡ると拾える確率が上がります。
預貯金の調査に使う相続時口座照会制度
預貯金にも、一括で照会する仕組みがあります。相続時口座照会制度です。金融機関ごとに窓口を回らなくても口座の有無をまとめて調べられる、という制度です。
株式はほふり、預貯金は口座照会。この2つを押さえておけば、財産の取りこぼしはかなり減ります。それでも漏れは残りますから、郵便物の確認は最後まで並行して続けてください。
関連記事:名義預金とは?相続税がかかる判定基準・時効・解消方法を相続専門税理士が解説
申告期限が迫っている方へ
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まとめ
ほふりへの開示請求は、証券会社の手がかりが何もないときの最終手段です。分かるのは口座がある会社の名前と担保に関する情報だけで、銘柄や残高は各社に問い合わせることになります。
費用は2026年10月1日に改定されます。本人の請求は4,400円から6,050円へ、法定相続情報一覧図なしの相続人の請求は6,050円から7,700円へ。判定の基準は初回の開示請求書を送った郵便の消印日で、書類の日付ではありません。
手続きは郵送のみ。局留の記載を忘れず、書類は全ページをコピーして、受付後はキャンセルできないことを前提に投函します。結果が届くまでは1か月ほど見ておきましょう。
そして、開示結果が届いてからが本番です。各社への残高証明書の請求、投資信託の解約価額での証明、上場株式の4つの価額での評価。ここまで進めて、ようやく申告書に落とし込めます。ご自身で進めるのが難しいと感じたら、早い段階で相続税に詳しい税理士へ相談してください。
よくある質問
本人、本人の法定代理人、本人の任意代理人、法定相続人、法定相続人の法定代理人、法定相続人の任意代理人、遺言執行者の7区分です。相続の場面では法定相続人か遺言執行者として請求するのが一般的です。
必要ありません。法定相続人が複数いる場合でも、そのうち1名で請求できます。ほかの相続人の署名も同意書も要らないので、遺産分割の話し合いが始まる前でも財産調査を進められます。
2026年9月30日までの消印なら、本人4,400円、遺言執行者6,050円、法定相続情報一覧図ありの相続人4,950円、一覧図なしの相続人6,050円です。2026年10月1日以降の消印では、それぞれ6,050円、6,050円、6,050円、7,700円に変わります。いずれも税込で、2件目以降は1件1,100円が加算されます。
書類に不備がなくても、受付から開示結果の送付までおおむね1か月かかります。混雑している時期や、書類に不備があった場合はさらに延びます。相続税の申告期限から逆算して、早めに投函しておきましょう。
分かりません。開示されるのは口座が開設されている証券会社・信託銀行等の一覧と、担保の受入れ・差入れに関する情報だけです。銘柄や残高は、開示結果に出てきた各社へ個別に問い合わせて、死亡日現在の残高証明書を取り寄せます。