戸籍謄本の読み方とは?相続に必要な4種類を専門税理士が解説
銀行の窓口で「出生から死亡までの戸籍をすべてそろえてください」と言われ、その場で固まってしまう。相続のご相談でよくある場面です。1通で足りると思っていたら5通も6通も要ると言われ、しかも古いものは手書きの縦書きで、開いても何が書いてあるのか読み取れない。相続税の申告でも、この戸籍一式は真っ先に用意する書類になります。
戸籍が読みにくいのには、はっきりした理由があります。呼び名が何種類もある。古い様式のものが混ざる。書いてある言葉が日常語ではない。そもそも「本籍」という言葉自体、住所と何が違うのかがぼんやりしている。この4つが重なって「読めない」という感覚になります。
この記事では、戸籍謄本の読み方を見本の図解つきで説明します。4種類の書類の違い、出生まで遡る手順、令和6年に始まった広域交付制度の使いどころ、集めた戸籍を相続税の申告でどう使うか。相続を専門にしている税理士として、実務で事故が起きやすいところを添えながら進めます。
この記事で分かること
- 戸籍謄本・戸籍抄本・除籍謄本・改製原戸籍の違いと使い分け
- 戸籍のどこを見れば何が分かるか(見本の図解つき)
- 出生から死亡までの戸籍を遡ってそろえる手順
- 広域交付制度で取れるもの、取れないもの
- 相続税の申告書に添付するときのルール
目次
1. 戸籍謄本とは?相続で「出生から死亡まで」が必要になる理由
1-1. 戸籍謄本は「誰が相続人か」を証明する唯一の公的書類
相続の手続きは、遺産を分ける前に誰が法定相続人なのかを確定させるところから動きます。その確定を公的に裏づけられる書類が、戸籍です。
戸籍には、いつ生まれて、誰と誰の子で、いつ結婚し、いつ亡くなったかが記録されています。親子関係も婚姻関係も、ここでしか公証できません。金融機関も法務局も税務署も、相続人の申告を鵜呑みにはせず、戸籍で裏を取ります。
1-2. 出生まで遡らないと相続人を見落とす理由
戸籍は法律が変わるたびに様式が作り直されてきました。これを「改製」と呼びます。
厄介なのは、改製した時点ですでにその戸籍から抜けていた人の情報が新しい様式には引き継がれないことで、前の結婚で生まれた子や、認知した子の記録は、最後の戸籍をどれだけにらんでも出てこないという事態が起こります。書き写されていないのだから、当然といえば当然なんです。
だから、死亡時の戸籍を1通取っただけでは足りません。出生時までさかのぼり、その人が生きた分の戸籍を全部つなげて初めて、相続人が確定します。
1-3. 相続人全員の現在の戸籍も必要になる
そろえるのは亡くなった方の分だけではありません。相続人それぞれの、現在の戸籍も要ります。相続人が相続開始の時点で生きていたことを示すためです。
この相続人の戸籍は、被相続人が亡くなった日より後に取ったものでなければ通りません。生前に取っておいた古い戸籍は使えない、という点だけ頭に置いてください。
関連記事:法定相続人とは?範囲・順位・3つの非課税枠を相続専門税理士が解説
2. 戸籍謄本・戸籍抄本・除籍謄本・改製原戸籍の違い
謄本、抄本、除籍謄本、改製原戸籍。相続で出てくる戸籍の書類は、この4つでほぼ全部です。漢字を見た瞬間に身構えてしまいますが、違いは全部で2軸しかありません。
2-1. 謄本は全員分、抄本は1人分
漢字が難しいだけで、中身の違いはあっさりしています。「謄」は戸籍に入っている全員分を写したもの、「抄」はそのうち1人分だけを抜き出したもの。それだけです。
相続では家族全員の関係を見せる必要があるので、原則として謄本を取ります。抄本が使えるのは、相続人自身の身分を示すだけで足りる場面などに限られます。窓口で迷ったら謄本、と決めておいて構いません。
2-2. 電子化で呼び名が変わっただけ
戸籍がコンピュータ化された自治体では、名前が変わっています。謄本は「全部事項証明書」、抄本は「個人事項証明書」。
窓口の申請書に謄本という言葉が見当たらず、戸惑う方がいます。中身は同じものです。呼び名が入れ替わっただけ、と思っておいて大丈夫です。
2-3. 除籍謄本とは(在籍者が誰もいなくなった戸籍)
戸籍に入っている人は、死亡・婚姻・転籍といった事情で1人ずつ抜けていきます。これを「除籍」といいます。
そして、その戸籍の在籍者が全員いなくなると、戸籍そのものが閉じられます。閉じられた戸籍を写したものが除籍謄本です。人が抜けることも除籍と呼ぶので、言葉が二重になっていて分かりにくいところです。
2-4. 改製原戸籍とは(様式が古い戸籍)
改製で新しい様式に作り替えられたとき、古いほうの戸籍は捨てられずに残ります。これが改製原戸籍です。読み方は「かいせいげんこせき」。実務では「はらこせき」と読む方も多いです。
相続で遡るときに出てくるのは、主に次の4つの様式です。
- 明治31年式
- 大正4年式
- 昭和23年式
- 平成6年式(コンピュータ化・横書き)
平成6年式への切り替えは、自治体ごとに任意のタイミングで進みました。10年ほどかけて全国が順次移行したので、改製の日付は本籍地によってバラバラです。同じ年に生まれたきょうだいでも、本籍地が違えば戸籍の様式が違う、ということが起こります。
| 書類 | 何が写されているか | 電子化後の名称 |
|---|---|---|
| 戸籍謄本 | 現在の戸籍にいる全員の記載事項 | 全部事項証明書 |
| 戸籍抄本 | 現在の戸籍の1人分だけ | 個人事項証明書 |
| 除籍謄本 | 全員がいなくなった戸籍の全部 | 除かれた戸籍の全部事項証明書 |
| 除籍抄本 | 同じ戸籍の1人分だけ | 除かれた戸籍の個人事項証明書 |
| 改製原 | 様式を変える前の古い戸籍 | ー |
| 附票 | 同じ戸籍にいた間の住所の履歴 | ー |

「様式が古くて、なおかつ全員が抜けている」という戸籍もあります。改製原戸籍でありながら除籍にもなっている、という状態です。二重にカウントしているわけではありません。
2-5. 戸籍の附票(住所の履歴をつなぐ書類)
戸籍の附票は、戸籍と住民票をつなぐ書類です。その戸籍にいた間の住所が、引っ越しのたびに積み上げて記録されています。
住民票では1つ前の住所までしか追えません。不動産の名義が古い住所のままになっているとき、附票がないと同じ人だと証明できないことがあります。戸籍を請求するとき、附票も一緒に頼んでおくと二度手間が減ります。

相続専門税理士 藤本のチェックポイント
戸籍の附票の除票は、令和元年の法改正で保存期間が150年に延びました。ただ、平成26年6月19日より前に消除されたものは、すでに廃棄されていて出てきません。古い住所の履歴は「取れないかもしれない」と思って動くほうが、気持ちが楽ですよ。
3. 戸籍謄本の読み方【見本で解説】
3-1. 読む前に知っておく戸籍の3つのルール
見本を見る前に、土台になるルールがあります。ここを知らないまま読むと、必ずどこかで引っかかります。
まず、本籍はどこに置いても構いません。住んだことのない土地でも、皇居の住所でも置けます。だから本籍と住所は一致しないほうが普通です。しかも、子どもが結婚して新しい戸籍を作るときに親と同じ本籍地を選べるので、同じ番地に筆頭者の違う戸籍が2つ並んで存在する、ということが普通に起こり、本籍だけを頼りに請求すると別人の戸籍が出てきかねません。本籍と筆頭者はセットで確認します。
次に、戸籍は「一組の夫婦と、その夫婦と氏を同じくする子」で1つ、という単位で作られます。結婚すると親の戸籍から抜けて、夫婦で新しい戸籍を作る。子が生まれるとそこに入る。子が結婚するとまた抜けていく。この繰り返しです。
ただ、昭和22年までの旧法では「家」が単位でした。戸主を中心に、兄弟姉妹やその配偶者・子まで同じ戸籍に入っています。昭和23年式より古い戸籍を開くと人数が多くて驚きますが、そういう作りだからです。
3つめが除籍・入籍・転籍という言葉。戸籍から抜けるのが除籍、入るのが入籍、本籍地を移すのが転籍です。転籍すると全員が元の戸籍から抜けるので、元の戸籍は閉じられます。
3-2. 本籍と筆頭者を見る

読む順番は、上から次の4つです。
- 本籍と筆頭者
- 戸籍事項欄
- 記載されている人と「除籍」の表示
- 身分事項と従前戸籍
最初は本籍と筆頭者。筆頭者は戸籍の見出しのようなもので、その戸籍を最初に作ったときの夫または妻です。筆頭者が亡くなっても、筆頭者の名前は変わりません。「戸主」とは違って、権限のようなものは何もない。ただの見出しです。
3-3. 戸籍事項欄を見る
次に戸籍事項欄。この戸籍そのものが、いつ・なぜ作られ、いつ・なぜ閉じられたかが書いてあります。
- 編製:新しく戸籍が作られた
- 改製:様式変更で作り直された
- 転籍:本籍地を移した
- 消除:戸籍が閉じられた
たとえば「平成11年3月20日改製」とあれば、その日に様式が変わっています。ということは、この戸籍より前に改製原戸籍が存在します。戸籍事項欄は、次にどの戸籍を取ればいいかを教えてくれる欄でもあるわけです。
3-4. 記載されている人と「除籍」の表示を見る
3つめは、その戸籍に誰がいるか。氏名・生年月日と一緒に、父母の氏名と続柄が書かれています。長男なのか二女なのか、実子なのか養子なのか。相続人を数えるときに直接効いてくる情報です。
抜けた人には「除籍」の表示が付きます。横書きの平成6年式なら、氏名の欄のそばに除籍と印字される。この表示がある人は、その戸籍からもういなくなっています。
3-5. 身分事項と従前戸籍を見る
4つめの身分事項が、遡り作業の本体です。出生・婚姻・離婚・養子縁組・死亡といった出来事が、日付つきで並んでいます。
注目するのは従前戸籍という欄です。その人が1つ前にどこの戸籍にいたか、本籍と筆頭者で書いてあります。婚姻で新しい戸籍に入った人なら、従前戸籍は親の戸籍です。そこをたどれば1つ前の戸籍にたどり着ける。戸籍を遡る作業は、この従前戸籍を順番に追いかけているだけなんです。

相続専門税理士 藤本のチェックポイント
従前戸籍の欄を見落として1代分が抜けたまま、金融機関に戸籍の束を提出してしまい、差し戻されたご相談がありました。ご本人はきちんとそろえたつもりだったので、電話口でとても驚かれていました。抜けているかどうかは、戸籍を年代順に並べて日付がつながるかを見るだけで分かります。
3-6. 縦書きの改製原戸籍はどう読むか
昭和23年式より古い戸籍は、縦書きで手書きです。文字が読めない、と言われることがいちばん多いのがここ。
見るべき場所は横書きと変わりません。ただ、除籍の表し方が違います。縦書きの戸籍では、名前に×印が引かれている人が、その戸籍から抜けた人です。理由は×印の上のほうに書かれています。婚姻で抜けたのか、死亡で抜けたのか、そこで分かります。

改製原戸籍の冒頭には「平成六年法務省令第五一号附則第二条第一項による改製につき○年○月○日消除」といった一文が入ります。役所の決まり文句なので、意味は「様式変更のためにこの戸籍は閉じました」と読み替えて構いません。
なお、明治31年式や大正4年式の細かい読み方までは、この記事では立ち入りません。相続の実務で必要なのは、そういう古い様式が存在すること、そして出生までたどるにはそこまで遡ることがある、という2点だからです。
4. 出生から死亡までの戸籍をそろえる手順
沼津、平塚、船橋。1人の戸籍が3つの市に散らばっていることは、そう珍しい話ではありません。
4-1. 本籍地が分からないときの調べ方
そもそも亡くなった方の本籍地を知らない。ここでつまずく方がかなり多いです。
本籍は、住民票を取るときに「本籍地の記載あり」を選べば分かります。亡くなった方なら住民票の除票です。附票を取れば、そこから住所の履歴もたどれます。相続手続き全体の流れのなかでも、この本籍地の確認はいちばん最初に済ませておきたい作業です。
4-2. 死亡時の戸籍から1つずつ遡る
本籍地が分かったら、そこから逆算していきます。

まず、死亡の記載がある戸籍を取る。その戸籍の戸籍事項欄と身分事項を見て、いつ編製されたか、従前戸籍はどこかを確認する。従前戸籍の市区町村に、次の戸籍を請求する。これを出生の記載が出てくるまで繰り返します。
途中で改製が挟まっていれば改製原戸籍を、全員が抜けていれば除籍謄本を取ることになります。窓口では「相続で使うので、この方の分をつながるところまで出してください」と伝えると、担当者が同じ市区町村内の分をまとめて出してくれることが多いです。
4-3.【ケース】転籍を2回していた家族の戸籍収集
森田さんのケース(前提)
- 被相続人:森田信一さん(昭和18年生まれ・令和7年11月死亡・82歳)
- 相続人:妻・長女・次男の3人
- 本籍の移動:出生時は静岡県沼津市。昭和45年の婚姻で沼津市に新戸籍。昭和58年に神奈川県平塚市へ転籍。平成17年に千葉県船橋市へ転籍
長女が船橋市で1通取り、それを金融機関に出したところ「出生からのものを」と返されました。ここから収集が始まります。
必要になった戸籍は6通です。
- 船橋市の現在戸籍(死亡の記載あり。妻が在籍しているため除籍にはなっていない)
- 平塚市の除籍謄本(平成17年の転籍で全員が抜けた)
- 平塚市の改製原戸籍(平成11年に平成6年式へ改製)
- 沼津市の除籍謄本(昭和45年の婚姻で編製、昭和58年の転籍で閉鎖)
- 沼津市の父の戸籍(昭和23年式。信一さんは昭和45年の婚姻で除籍)
- 沼津市の改製原戸籍(大正4年式。信一さんの出生の記載はここにある)
手数料は450円が1通、750円が5通で、合計4,200円。市区町村は3つ、郵送を挟んだので実際に全部そろうまで3週間かかりました。
転籍が2回あると、それだけで戸籍は倍近くに増えます。 本籍地を移した回数は、家族でも把握していないことがほとんどです。
このケースのポイントは、6通目の大正4年式にたどり着けたこと。ここに出生の記載があるので、ここで初めて「これ以上遡る必要はない」と確定できます。
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関連記事:相続手続きの流れ6ステップと期限一覧【相続専門税理士が解説】
5. 戸籍謄本の取り方【窓口・郵送・広域交付】
5-1. 広域交付制度でできるようになったこと
令和6年3月1日から、戸籍法の改正で「広域交付」が始まりました。本籍地の市区町村でなくても、最寄りの窓口で戸籍を請求できる制度です。
沼津市・平塚市・船橋市と本籍が動いた人の戸籍を、住んでいる街の窓口でまとめて頼める。郵送で何往復もしていた時代を考えると、大きな前進です。
5-2. 広域交付が「使えない」ケース
ところが、この制度には穴があります。使えると思って窓口に行き、断られて帰ってくる方が後を絶ちません。
- 請求できるのは本人・配偶者・直系尊属(父母や祖父母)・直系卑属(子や孫)だけ
- 兄弟姉妹は請求できない(きょうだいの相続では使えない)
- 代理人・委任状は不可。士業の職務上請求も対象外
- 戸籍抄本と戸籍の附票は取れない
- コンピュータ化されていない一部の古い戸籍は取れない
- 郵送・オンライン・コンビニでの請求は不可。本人が窓口へ行く必要がある
- 本人確認は顔写真付きの証明書が必須(マイナンバーカード・運転免許証など)

| 書類 | 広域交付 | 備考 |
|---|---|---|
| 戸籍謄本 | ○ | 全部事項証明書 |
| 除籍謄本 | ○ | 電子化済みのものに限る |
| 改製原 | ○ | 電子化済みのものに限る |
| 戸籍抄本 | × | 本籍地に請求する |
| 附票 | × | 本籍地に請求する |

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ご依頼を受けたとき、私が最初にお聞きするのは「戸籍は何通いりますか」です。税理士が職務上請求で取れるのは、原則として税務署に出す1部だけなんです。銀行にも法務局にも出すなら、委任状をいただいて代理で取る形に切り替えます。何にお使いになるかを先に教えてくださいね。
もうひとつ、実務上の注意があります。広域交付では窓口から本籍地への照会が入るため即日で受け取れる保証がなく、出生から死亡までを一括で頼んだ場合には、その場では出てこず後日交付になることのほうがむしろ多いです。急ぎの手続きが控えているなら、そこは見込んでおいてください。
5-3. 郵送請求とコンビニ交付
広域交付が使えないときは、本籍地の市区町村へ郵送で請求します。申請書・本人確認書類のコピー・定額小為替・返信用封筒を送る形です。往復で1〜2週間みておくと安心です。
コンビニ交付は、マイナンバーカードがあれば使えます。ただし対応しているのは現在の戸籍証明書と附票の写しくらいで、除籍謄本や改製原戸籍は出てきません。しかも自治体によっては対応していない。相続の戸籍収集で主役になる方法ではない、というのが正直なところです。
5-4. 手数料の目安
全国的には、おおむね次の金額です。自治体によって異なる場合があるので、事前に確認してください。
| 証明書 | 手数料の目安 |
|---|---|
| 戸籍謄本 | 1通 450円 |
| 戸籍抄本 | 1通 450円 |
| 除籍謄抄本 | 1通 750円 |
| 改製原戸籍 | 1通 750円 |
| 戸籍の附票 | 自治体により異なる |
古い戸籍ほど単価が高いので、遡る家系ほど費用は膨らみます。10通を超えるケースでは、7,000円から1万円くらいを見込んでおくといいです。
5-5.【ケース】広域交付を当てにして2か月遅れた失敗
岡崎さんのケース(前提)
- 被相続人:岡崎ヒサ子さん(令和7年12月死亡・独身・子なし・両親は他界)
- 相続人:弟の岡崎茂さんと、先に亡くなった姉の子2人(甥)
茂さんは、広域交付なら自分の住む市の窓口で全部そろうと考え、平日に休みを取って出向きました。窓口で言われたのは「きょうだいの戸籍は広域交付では出せません」。請求できるのは本人・配偶者・直系尊属・直系卑属に限られるからです。
さらに、きょうだいが相続人になるケースでは、両親の出生から死亡までの戸籍も必要になります。子がいないこと、親が亡くなっていることを証明しないと、弟が相続人だと確定できないためです。通数は一気に増えました。
結局、5つの市区町村へ郵送請求することになり、全部そろうまで約2か月。相続税の申告期限まで残り8か月を切っていました。
防ぐには、動く前に「自分は請求できる立場か」を確認するだけでよかった。 きょうだいの相続だと分かった時点で、委任状による代理取得か専門家への依頼に切り替えていれば、1か月は縮められたケースです。
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6. 集めた戸籍を相続手続きでどう使うか
6-1. 相続税の申告書に添付するときのルール
相続税の申告書に添付する戸籍には、決まりが2つあります。
1つは作成時期。相続開始の日から10日を経過した日以後に作成されたものでなければいけません。死亡届を出したついでに、その足で窓口に寄って取っておいた戸籍は、この10日の条件を満たさないことがあり、せっかく手元にあるのに申告には使えず、もう一度役所へ行くことになります。この取り直しは、実際にたびたび起きます。

もう1つは形式。平成30年4月1日以後に提出する申告書からは、原本ではなくコピーでも認められています。原本は法務局や金融機関に回せるので、ここは素直に助かるところです。
なお、戸籍と一緒に遺産分割協議書を添付する場面も出てきます。誰が何を取得したかを示す書類なので、戸籍とセットで扱うと考えておいてください。
参考:相続税の申告書の添付書類の範囲が広がりました(国税庁)
6-2. 法定相続情報一覧図で戸籍の束を1枚にまとめる
集めた戸籍が10通を超えると、金融機関を回るたびに束を持ち歩くことになります。これを1枚に置き換えられるのが法定相続情報一覧図です。
戸籍一式と自分で作った関係図を法務局に出すと、認証された一覧図の写しが交付され、この写しは無料で必要な枚数だけもらえるうえ、法務局で5年間保管されるので、その期間内であれば再交付も無料です。提出した戸籍は返してもらえます。
近ごろは金融機関のほうから「まず一覧図の写しを」と案内されることも増えました。銀行が3行、証券会社が2社、といった相続では、先に作っておくほうが結果的に早いです。

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法務局のひな形どおりに続柄を「子」とだけ書いた一覧図は、相続税の申告では使えません。実子か養子かが分かる書き方でないと、税務署では受け取ってもらえないんです。申請のときに「相続税の申告に使います」と一言添えていただければ大丈夫ですよ。
関連記事:法定相続情報一覧図とは?取得方法・必要書類・書き方を相続専門税理士が解説
6-3. 戸籍謄本に有効期限はあるのか
戸籍そのものに有効期限はありません。法務局の登記手続ハンドブックでも、相続登記に使う戸籍・除籍・改製原戸籍の有効期限は「なし」と示されています。10年前に発行された除籍謄本でも、書いてある内容は変わらないので使えます。
ただし、提出先が独自の基準を持っている場合があります。金融機関では発行から3か月以内、6か月以内といった条件を付けられることがあり、対応は各社でまちまちです。預貯金や証券の手続きが控えているなら、提出先に期限を確認してから戸籍を取りにいくほうが、二度手間になりません。
繰り返しになりますが、被相続人の死亡後に取ったものであることは、どの提出先でも共通の前提です。
関連記事:遺産分割協議書とは?書き方・必要書類・提出先を相続専門税理士が解説
参考:相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ(法務局)
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まとめ
戸籍の読み方でつまずくのは、書類そのものが難しいからというより、呼び名と様式が入り組んでいるからです。謄本は全員分、抄本は1人分。全員が抜けた戸籍が除籍謄本で、様式が古いものが改製原戸籍。この整理ができれば、窓口でも迷いません。
読むときに見る場所は4つ。本籍と筆頭者、戸籍事項欄、記載されている人と除籍の表示、そして身分事項の従前戸籍。遡る作業の実体は、従前戸籍を1つずつ追いかけることです。
広域交付は便利な制度ですが、きょうだいの相続では使えず、抄本と附票も出てきません。使えない場面を先に知っておけば、窓口で無駄足を踏まずに済みます。
戸籍集めは地味な作業で、しかも相続税の申告の入口にすぎません。ここに何か月もかけていると、財産の評価や遺産分割の時間が削られていきます。手が止まったら、早めに専門家に相談してください。
よくある質問
本籍と筆頭者、戸籍が作られた日と閉じられた日、その戸籍にいる人の氏名・生年月日・父母の氏名と続柄、そして出生・婚姻・離婚・養子縁組・死亡といった身分事項です。1つ前にいた戸籍を示す「従前戸籍」も記載されています。
その戸籍を最初に作ったときの夫または妻で、戸籍の見出しにあたる人です。旧法の「戸主」と違って、権限のようなものはありません。筆頭者が亡くなっても筆頭者の名前は変わらないので、そのまま戸籍を特定する目印として使います。
亡くなった方の出生の記載がある戸籍までです。死亡時の戸籍から従前戸籍をたどり、出生の記載が出てきた時点で完了になります。転籍や改製が多い方だと、6通から10通ほどになることも珍しくありません。
全国的にはおおむね、戸籍謄本・抄本が1通450円、除籍謄本と改製原戸籍が1通750円です。自治体によって異なる場合があります。出生から死亡まで6通そろえると、4,000円前後になるとみておいてください。
令和6年3月1日から始まった広域交付制度で、最寄りの窓口でも請求できるようになりました。ただし請求できるのは本人・配偶者・直系尊属・直系卑属に限られ、戸籍抄本と戸籍の附票は対象外です。窓口へ本人が出向く必要もあります。
できません。原則として本人と配偶者、直系の親族に限られます。それ以外の方が取る場合は委任状による代理請求になります。弁護士・税理士などが職務上請求で取得できる場合もありますが、使える範囲は法律で定められています。
戸籍そのものに有効期限はなく、法務局や税務署の手続きでも期限は設けられていません。ただし金融機関では発行から3か月以内、6か月以内といった条件を付けられることがあります。提出先に確認してから取得するのが確実です。
マイナンバーカードがあれば、コンビニのマルチコピー機で現在の戸籍証明書や附票の写しを取得できます。ただし除籍謄本や改製原戸籍は出せません。対応していない自治体もあるため、相続の戸籍集めでは窓口か郵送が基本になります。