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土地の相続税はいくら?計算方法と最大80%減の特例を税理士が解説

土地の相続税はいくら?

親名義の土地が一つあるだけで、相続税の話は急に現実味を帯びてきます。土地は金額が大きく、評価をひとつ間違えるだけで税額が何十万円も動く財産だからです。土地をふくむ不動産の相続全体は不動産×相続のまとめ記事にまとめているので、この記事では土地の税額にしぼってお伝えします。

ただ、やみくもに怖がる必要はありません。土地の相続税は「評価額をいくらで出すか」でほとんど決まります。逆に言えば、この一点を丁寧に扱えれば、自分の家がどのくらいになるのか見当がつくということ。

税金がかかる基準の見きわめ方から、評価額の出し方、税額を大きく下げる特例、そして「払うお金が用意できない」ときの選び方まで、順番に見ていきます。

  • 相続税がかかる基準(基礎控除の考え方)
  • 評価額の出し方(路線価方式・倍率方式)
  • 税額の計算例(具体的な数字つき)
  • 小規模宅地等の特例で税額がどれだけ下がるか
  • 相続税が払えないときの3つの選択肢
執筆者
藤本 敦子

相続税専門税理士 / ラクソウ代表

藤本 敦子

中国税理士会 広島西支部所属:登録番号139011。広島県出身。横浜国立大学卒業後、監査法人トーマツ入所。2018年に税理士登録し、相続税の申告を専門に取り扱う税理士事務所を設立。広島テレビのテレビ派にコメンテーター出演。相続税申告、相続対策、コンサルティングなど、資産税業務が得意。

■保有資格
税理士(登録番号:第139011号)
公認会計士(試験合格)

■経歴
広島 ノートルダム清心高等学校 卒業
横浜国立大学 経営学部 卒業
有限責任監査法人トーマツ 入所
藤本敦子税理士事務所 / ラクソウ 設立

■得意分野
・相続税の申告
・生前贈与/遺言書のサポート
・不動産評価の最適化
・二次相続/事業承継の税務アドバイス

1. 土地を相続したら相続税はいくらかかる?まず「かかるかどうか」から

土地って、持ってるだけで相続税かかるんだよね?うち実家に土地あるから、絶対に払うやつだ…
猫田のアバター
猫田
ちゃうちゃう、そこ勘違いしてる人ほんま多いんや。土地があるだけでは決まらへん。遺産をまるごと足して、ある線を超えたときに初めてかかるんやで。
犬井のアバター
犬井

相続税がかかるのは、亡くなった方の財産をぜんぶ合わせた額が、ある一定のライン(基礎控除)を超えたときです。土地があるかどうかは関係ありません。

1-1. 相続税がかかるのは遺産が基礎控除を超えたとき

その基礎控除は、次の式で決まります。

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

相続人が配偶者と子ども2人の合計3人なら、3,000万円+600万円×3人で4,800万円。遺産の総額がこの4,800万円以下なら、相続税はかからず、申告も原則いりません。相続人が1人だけなら3,600万円が目安になります。

国税庁のデータでは、実際に相続税がかかった人は亡くなった方全体の1割弱。「うちは資産家じゃないから関係ない」と思っていた家庭が、土地の評価が思ったより高くて課税ラインを超えてしまう。これが近年増えているパターンなんです。

1-2. 判定するのは土地単体ではなく、遺産の合計

見るのは土地だけの金額ではありません。土地・建物・預貯金・株式・生命保険などをぜんぶ足し、そこから借入金や葬式費用を引いた「正味の遺産額」で判定します。

だから「土地が3,000万円あるから課税だ」とは限りませんし、「土地は安いから平気」と油断すると、預貯金と合算して基礎控除を超えていた、ということも起こります。まずは家全体の財産をざっと書き出すところから始めましょう。

相続税がかかる基準

関連記事:【2025年最新】不動産相続の「手残り」を最大化する評価・分割・売却の戦略を税理士が解説

参考:相続税の計算(国税庁)

2. 土地の相続税評価額の出し方(路線価方式と倍率方式)

評価額って、売ったらいくら、の金額でしょ?だいたい見当つくよ。
猫田のアバター
猫田
それがな、ぜんぜん別モンやねん。売値でも買値でもない、相続税専用の出し方があるんや。
犬井のアバター
犬井

土地の相続税評価額を出す方法は、大きく2つ。市街地か郊外かで分かれます。

2-1. 市街地は路線価方式

路線価方式は、道路(路線)ごとに定められた1平方メートルあたりの価額を使う方法です。この価額が「路線価」。計算の骨格はシンプルで、次のとおり。

評価額 = 路線価 × 各種補正率 × 土地の面積

路線価が1平方メートル20万円、面積200平方メートル、補正なしなら、20万円×200=4,000万円。これが出発点。路線価は毎年7月ごろに国税庁が公表していて、誰でも見られます。

2-2. 路線価がない地域は倍率方式

郊外など、路線価が設定されていない地域もあります。その場合が倍率方式。固定資産税評価額に、地域ごとに決められた倍率をかけます。

評価額 = 固定資産税評価額 × 倍率

固定資産税評価額は、毎年春に届く固定資産税の課税明細書に載っています。倍率のほうは国税庁の「評価倍率表」で確認できます。自分の土地がどちらの地域かは、同じく「路線価図・評価倍率表」で調べられます。

路線価と倍率方式

関連記事:土地の相続税評価額とは?路線価方式・倍率方式の計算を税理士がやさしく解説

2-3. 補正で評価額は下がる、土地評価がむずかしい理由

さきほど「各種補正率」とサラッと書きましたが、土地評価でいちばん奥が深いのが、この補正なんです。

土地は一つひとつ形も条件も違います。奥行きが極端に長い。間口が狭い。道路に接していない。いびつな形。がけ地を含む。道路の拡幅で敷地の一部を提供しないといけない(セットバック)。こうした事情があると、その使いにくさに応じて評価額を下げられます。

裏を返すと、この補正を見落としたまま申告すれば、本来より高い評価額のまま、払わなくていい税金まで納めてしまうことになります。整った四角い土地ならまだしも、少しでもクセのある土地は、ここで大きな差がつきます。土地の評価額は、出し方ひとつで税額が何十万円も動く。 これが、土地の相続税がほかの財産と違って厄介なところです。

相続専門税理士 藤本のチェックポイント

先日ご相談に来られた方の土地、一部が道路に接していない形だったんですが、そこを補正せずに計算されていました。減額できる要素を一つ見落としただけで、数十万円ぶん高く見積もっておられたんです。土地の形が「きれいな長方形ではないな」と感じたら、申告の前に一度、専門家の目を通してくださいね。

参考:土地家屋の評価(国税庁)

参考:財産評価基準書 路線価図・評価倍率表(国税庁)

3. 土地の相続税の計算方法を具体例で(評価額→課税価格→税額)

この前テレビで「不動産を持ってると相続税が高い」ってやってたよ。やっぱり土地って不利なんだ…
猫田のアバター
猫田
あー、それよう言われる誤解やねん。税率は現金でも土地でも一緒。高うなるんは税率やなくて、評価額が思たより大きく出ることがある、いう話や。
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犬井

税率表は10%から55%まで。この表は、現金だろうと土地だろうと、まったく同じものを使います。土地だから高い税率、というものは存在しません。順番に計算していきましょう。

3-1. 計算は3ステップ

流れはこうです。

  1. すべての財産を評価して合計し、基礎控除を引く(=課税遺産総額)
  2. それを法定相続分で分けたと仮定して、各人の取得額に税率をかける
  3. いったん出した税額を合計し、実際の取り分で分け直す

ここで注意したいのが、遺産の総額にそのまま税率をかけるのではない、という点。この手順を飛ばすと税額が過大に出てしまいます。

3-2. 計算例:子ども2人が8,000万円の遺産を相続したケース

数字で追ってみましょう。

計算例:子ども2人が8,000万円を相続

  • 相続人:子ども2人(母はすでに他界)
  • 遺産:土地(評価額6,000万円)+預貯金2,000万円=合計8,000万円

まず基礎控除は3,000万円+600万円×2人=4,200万円。課税遺産総額は8,000万円−4,200万円=3,800万円。

これを法定相続分(子は2人で2分の1ずつ)で分けると、1人あたり1,900万円。速算表で1,900万円は「3,000万円以下」なので、税率15%・控除額50万円。

1,900万円×15%−50万円=235万円。子ども2人ぶんで、相続税の総額は235万円×2=470万円でした。

相続税額の計算手順

なお、この土地に人が住んでいて要件を満たせば、次章の特例でここから大きく下がります。

参考:相続税の税率(国税庁)

4. 土地の相続税を抑える控除・特例(小規模宅地等の特例が最重要)

そんなに税金って下げられるものなの?
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猫田
待っとったで、その質問。土地の相続税でいちばん効くやつがあるんや。使えるか使えへんかで、税額がまるっきり変わってくる。腰すえて聞き。
犬井のアバター
犬井

土地の相続税で最も効くのが、小規模宅地等の特例です。亡くなった方が住んでいた自宅の土地などについて、評価額を大幅に減らせます。

4-1. 小規模宅地等の特例で評価額が最大80%下がる

自宅として使っていた土地(特定居住用宅地等)なら、330平方メートルまでの部分について評価額を80%も減らせます。事業に使っていた土地は400平方メートルまで80%、人に貸していた土地は200平方メートルまで50%が目安です。

どれくらい効くのか、使う場合と使わない場合で並べてみます。

比較:小規模宅地等の特例を使う場合と使わない場合

  • 相続人:亡くなった親と同居していた子ども1人
  • 遺産:自宅の土地(評価額5,000万円・敷地250平方メートル)+建物1,000万円+預貯金2,000万円

特例を使わないと、課税価格は8,000万円。基礎控除3,600万円を引いた4,400万円が課税遺産総額で、税額は4,400万円×20%−200万円=680万円。

特例を使うと、土地の5,000万円が80%減で1,000万円に。課税価格は1,000万円+1,000万円+2,000万円=4,000万円まで下がり、基礎控除3,600万円を引くと400万円。税額は400万円×10%=40万円です。

同じ土地なのに、680万円と40万円。その差は640万円。特例が使えるかどうかだけで、これだけの開きが出ます。

小規模宅地の特例効果

4-2. 特例には要件があり、申告も必要

これだけ効く制度ですから、無条件で使えるわけではありません。誰が相続するか、その後も住み続けるか・持ち続けるか、といった要件がついてきます。

見落としやすいのが、この特例で税額がゼロになる場合でも、相続税の「申告」自体は必要だという点。申告して初めて特例が認められる仕組みなので、「ゼロだから何もしなくていい」と放置すると、あとで特例そのものが使えなくなります。

要件や計算はかなり細かいので、小規模宅地等の特例の詳しい解説で、家なき子のケースまで確認してみてください。

相続専門税理士 藤本のチェックポイント

「うちは親と同居していなかったから、特例なんて無理ですよね」。そう決めつけていませんか。条件を満たせば、別居の子でも使える「家なき子」という枠があります。

参考:小規模宅地等の特例(国税庁)

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5. 相続税がかからない・少なくなるのはどんなとき

結局さ、うちは払うの?払わないの?そこ、はっきりしてほしいんだけど…!
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猫田
それがいちばん知りたいとこやんな。ただ正直に言うと、家によって答えがちゃうから「絶対こう」とは言えへんのや。だからパターンで見せるわ。当てはめてみ。
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犬井

「かからない」には2つのパターンがあって、その後の扱いがまったく違います。ここを取り違えると、必要な手続きを落とします。

5-1. 基礎控除の範囲内なら、そもそもかからない

遺産の総額が基礎控除以下なら、相続税はかかりません。この場合は申告も原則不要。相続人が2人で遺産が4,000万円なら、基礎控除4,200万円のなかに収まるので、税金の心配はいりません。

5-2. 特例でゼロになるケースは「申告が必要」

もう一方は、基礎控除は超えているけれど、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を使った結果ゼロになるケース。注意が必要なのはこちらです。

たとえば配偶者の税額軽減は、配偶者が取得した財産のうち1億6,000万円まで(または法定相続分まで)は相続税がかからない、という強力な制度。ただし、これらの特例で税額がゼロになっても、申告書を出さないと特例そのものが認められません。「税額ゼロ=手続きゼロ」ではない、という点に気をつけてください。

相続専門税理士 藤本のチェックポイント

ゼロと分かって安心し、申告をうっかり忘れる。この取りこぼしが、いちばんもったいないんです。

6. 土地の相続税が払えないときの選択肢(延納・物納・売却)

相続したの土地ばっかりで、手元に現金ないの…そんな急に払えないよ。
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猫田
そらしんどいわな。でも、道はちゃんとある。落ち着き。
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犬井

相続税は、現金で一度に納めるのが原則。とはいえ、遺産の大半が土地で現金が足りない、という状況は珍しくありません。そのために、いくつか方法が用意されています。

6-1. 分割して納める「延納」

一度に払えないときに、何年かに分けて納める方法です。利子はつきますが、まとまった現金がなくても納税のメドが立ちます。担保の提供などの要件があります。

6-2. 土地などの財産で納める「物納」

延納でも難しい場合の最終手段が物納。現金の代わりに、相続した土地などそのもので納めます。ただし、どんな財産でも納められるわけではなく、順位や条件が決まっています。

6-3. 売却して現金をつくる

もう一つ現実的なのが、相続した土地の一部を売って現金をつくり、それで納税する方法。売り方や時期によって手取りは動きますし、譲渡所得税との兼ね合いも出てきます。どれが有利かは、家ごとの事情でまったく違ってきます。

ひとつだけ、実務からの注意を。納付期限は申告と同じ10か月です。この期限が迫ってから慌てて土地を売ろうとすると、足元を見られて安く手放すことになりがち。早めに動けば、それだけ選べる道が広がります。

相続専門税理士 藤本のチェックポイント

納税資金の相談は、早いほど打てる手が増えます。

参考:相続税の延納(国税庁)

7. ケース別:親の土地・実家を相続したときの相続税

実家の土地、たぶん私が継ぐことになりそうなの。ぼんやり不安で、想像もつかなくて。
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猫田
よっしゃ、ほんなら実家パターンで一緒に見てこ。いちばん多い形やし、これ分かったら応用きくで。
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犬井

「親の土地 相続税 いくら」で調べる方が多いテーマ。実家を例に、全体像をつかんでもらいます。

7-1. 実家(土地+建物)を相続した場合

親の自宅を相続するとき、鍵になるのはやはり小規模宅地等の特例です。同居していた子や配偶者が引き継ぐなら、土地の評価が80%下がる可能性があり、結果として相続税がゼロやわずかな額に収まることも珍しくありません。

一方、誰も住まなくなる実家や、賃貸に出していた土地は、特例の要件を満たしにくくなります。同じ「親の土地」でも、その後の使い方しだいで税額が動くわけです。

7-2. 金額別のざっくりした目安

税額は土地の評価額と家族構成で動きますが、感覚をつかむために、預貯金なども含めた遺産総額での目安を挙げておきます。

  • 相続人は子2人
  • 小規模宅地等の特例は使わない前提
  • 表の金額は相続税の総額(概算)
遺産総額相続税の総額(概算)
4,200万円以下0円
6千万円180万円
8千万円470万円
1億円770万円

あくまで大まかな目安です。実際には土地の評価をどう出すか、特例が使えるかで、ここから大きく上下します。自分の家の数字を知りたいときは、遠慮なくご相談ください。

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まとめ

土地の相続税は、大きく次の流れで見ていけます。

  • 遺産の総額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるかで、かかるかどうかが決まる
  • 土地の評価額は路線価方式または倍率方式で出し、形や条件による補正で下げられる
  • 税率は財産の種類を問わず同じ10〜55%。土地だから高いわけではない
  • 小規模宅地等の特例が使えれば、評価額が最大80%下がる
  • 払えないときは延納・物納・売却という道がある

なかでも効いてくるのが、評価額をどう出すかと、特例を使いこなせるか。この2つは専門性が高く、ほんの少しの見落としが数十万円、ときに数百万円の差になります。「うちの土地はどうなるんだろう」と気になったら、早めに相談してみてください。

よくある質問

土地の相続税はいくらまで無税ですか?

遺産全体の額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)以下なら、相続税はかかりません。相続人が3人なら4,800万円までが目安です。土地単体ではなく、預貯金なども含めた遺産の合計で判定します。

親の土地を相続すると相続税はいくらかかりますか?

土地の評価額と、預貯金なども含めた遺産全体の額、相続人の人数で決まります。親と同居していた自宅の土地なら、小規模宅地等の特例で評価額が大きく下がり、税額がゼロやわずかな額に収まることもあります。

土地の相続税評価額はどうやって計算しますか?

市街地は路線価方式で「路線価×補正率×面積」、路線価のない地域は倍率方式で「固定資産税評価額×倍率」で計算します。自分の土地がどちらかは、国税庁の路線価図・評価倍率表で確認できます。

固定資産税評価額と相続税評価額は違いますか?

別のものです。倍率地域では固定資産税評価額に倍率をかけたものが相続税評価額になり、路線価地域では路線価をもとに計算します。固定資産税評価額そのものが相続税評価額になるわけではありません。

土地の相続税は何パーセントですか?

土地だからといって特別な税率はありません。財産の種類にかかわらず、10〜55%の同じ速算表を使います。何%になるかは、課税遺産総額を法定相続分で分けた金額によって決まります。