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相続税の計算方法と早見表|2025年最新版|広島の専門税理士がわかりやすく解説

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相続税の計算方法とは?計算式・税率・控除・早見表・シミュレーション事例を税理士が完全解説

相続税の計算方法がわからない」「うちはいくら税金がかかるの?」

初めて相続に直面した方の多くが、まず疑問に感じるのがこの点です。

相続税の計算は、単純な足し算・引き算ではありません。現金や預金だけでなく、不動産、生命保険、株式などの財産をそれぞれ相続税評価額に換算し、そこから控除を引いた「課税遺産総額」に税率をかけて求めます。

計算手順そのものは国税庁のマニュアルでも紹介されていますが、実際に自分の家庭で計算してみると「どこまでが財産なのか」「控除の使い方がわからない」と悩む方が非常に多いのです。

特に、広島市内のように土地評価額が高いエリアでは、「現金は少ないけれど土地の評価で課税対象になる」ケースが多発しています。

この記事では、相続税専門の税理士が、初心者でも理解できるように、相続税計算の手順・計算式・控除・税率・早見表・具体例・注意点をすべて網羅的に解説します。

  • 相続税がかかる条件と基礎控除額の計算方法
  • 相続税計算の3ステップと具体的な計算式
  • 税率累進課税の仕組み(10%~55%)
  • 配偶者控除小規模宅地等の特例などの控除制度
  • 遺産額別(5,000万円・1億円・2億円)のシミュレーション事例
  • よくある計算ミスと過少申告のリスク
執筆者
敦子 藤本

相続税専門税理士 / ラクソウ代表

敦子 藤本

中国税理士会 広島西支部所属:登録番号139011。広島県出身。横浜国立大学卒業後、監査法人トーマツ入所。2018年に税理士登録し、相続税の申告を専門に取り扱う税理士事務所を設立。相続税申告、相続対策、コンサルティングなど、資産税業務が得意。

■保有資格
税理士(登録番号:第139011号)
公認会計士(試験合格)

■経歴
広島 ノートルダム清心高等学校 卒業
横浜国立大学 経営学部 卒業
有限責任監査法人トーマツ 入所
藤本敦子税理士事務所 / ラクソウ 設立

■得意分野
・相続税の申告
・生前贈与/遺言書のサポート
・小規模宅地等の特例
・土地評価の最適化
・二次相続/事業承継の税務アドバイス

■執筆への想い
相続は、人生の中でも数少ない、そして非常に重たい出来事のひとつです。 不安や悩みを抱える方に、少しでも安心して一歩を踏み出してもらえるよう、税理士として専門的な視点から、丁寧でわかりやすい情報発信を心がけています。

相続税はいくらから?計算が必要なケースとは

相続税がかかるのは「基礎控除額」を超えた場合のみ

相続税は、すべての相続で課税されるわけではありません。

結論から言うと、基礎控除額を超えた財産にだけ相続税がかかります

基礎控除額の計算式はシンプルです。

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

たとえば、法定相続人が3人(配偶者と子2人)なら、

3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円

つまり、遺産総額が4,800万円以下なら相続税はかかりませんし、申告も不要です。

家族構成別の基礎控除額早見表

家族構成法定相続人数基礎控除額課税される目安
配偶者のみ1人3,600万円3,600万円超
配偶者+子1人2人4,200万円4,200万円超
配偶者+子2人3人4,800万円4,800万円超
配偶者+子3人4人5,400万円5,400万円超
子のみ(2人)2人4,200万円4,200万円超
子のみ(3人)3人4,800万円4,800万円超

より詳しい基礎控除の計算方法や注意点については、「相続税の基礎控除はいくら?計算式・早見表」をご覧ください。

申告が必要なケース・不要なケース

申告が不要なケース:

  • 遺産総額が基礎控除額以下
  • 特例を使わない場合

申告が必要なケース:

  • 遺産総額が基礎控除額を超える場合
  • 小規模宅地等の特例配偶者控除を使う場合(基礎控除以下でも申告必須)

注意点として、「基礎控除を少しだけ超えたから大丈夫」と思い込むのは危険です。申告期限(相続開始から10か月以内)を過ぎると、加算税や延滞税が課されることもあります。

相続税の計算は「3ステップ」で理解する

相続税の計算は、次の3つのステップに整理するとわかりやすくなります。

ステップ1:相続財産の総額を出す

相続税の対象となる財産には、現金・預金・土地・建物・株式・投資信託・生命保険金などがあります。

注意すべきなのは「名義は違うけれど、実質的に被相続人の財産」であるものも対象になる点です。

例:

  • 被相続人の口座から子名義に移した預金(名義預金
  • 亡くなる直前に贈与したお金(みなし贈与
  • 死亡保険金や退職金(みなし相続財産

これらは「相続財産」として合算します。

ステップ2:基礎控除や各種控除を差し引く

相続財産の総額が出たら、そこから控除を引きます。

控除には「基礎控除」「配偶者控除」「小規模宅地等の特例」「生命保険金の非課税枠」などがあります。

これらを正確に計算することで、課税遺産総額を減らし、納税額を抑えられます。

ステップ3:税率をかけて相続税を計算する

控除を差し引いた金額(課税遺産総額)に、相続税率を適用します。

税率は10%から55%までの累進課税で、金額が大きいほど高くなります。

この時点での計算結果は「概算額」。実際はここからさらに、相続人ごとの法定相続分で分割して税額を算出します。

計算フロー図

【相続財産の総額】
    ↓
【- 基礎控除・各種控除】
    ↓
【課税遺産総額】
    ↓
【× 相続税率】
    ↓
【相続税額】

基礎控除と配偶者控除の計算方法

基礎控除の詳細計算

相続税の基本式は以下の通りです。

相続税額 = {(遺産総額 − 基礎控除)× 税率 − 控除額} × 各人の相続割合

ここで重要なのが「基礎控除」です。

基礎控除 = 3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)

例:相続人が配偶者と子1人(合計2人)の場合
→ 3,000万円+600万円×2=4,200万円

つまり、遺産総額が4,200万円以下なら相続税はかかりません。

国税庁の「No.4152 相続税の計算」でも詳しく解説されています。

法定相続人の数え方に注意

基礎控除額の計算では、「法定相続人の数」の数え方にルールがあります。

  • 相続放棄した人も含めて数える
    相続放棄をしても、基礎控除の計算では「いないもの」として扱いません
  • 養子は人数制限がある
    実子がいる場合:養子は1人まで
    実子がいない場合:養子は2人まで
  • 胎児は生まれたものとして数える
    相続開始時に胎児だった子は、無事に生まれれば法定相続人に含まれます

このような細かなルールを間違えると、申告の判断を誤る原因になります。

配偶者控除(配偶者の税額軽減)

配偶者には特別な控除があります。

配偶者が相続した財産のうち、次のいずれか多い金額まで相続税がかかりません。

  • 1億6,000万円
  • 法定相続分相当額

例:

  • 遺産総額5億円で配偶者が2億円を相続
    → 配偶者の法定相続分(1/2)= 2.5億円
    2億円までは非課税
  • 遺産総額2億円で配偶者が全額相続
    1億6,000万円までは非課税

ただし、配偶者控除を使いすぎると、配偶者が亡くなった際の「二次相続」で子どもの税負担が大きくなるリスクがあるため、注意が必要です。

相続税の税率と計算式

相続税率は累進課税(10%~55%)

相続税は、課税遺産総額が大きくなるほど税率が高くなる「累進課税」です。

相続税の税率表

課税遺産総額税率控除額
1,000万円以下10%
1,000万円超~3,000万円以下15%50万円
3,000万円超~5,000万円以下20%200万円
5,000万円超~1億円以下30%700万円
1億円超~2億円以下40%1,700万円
2億円超~3億円以下45%2,700万円
3億円超~6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

国税庁の「No.4155 相続税の税率」でも確認できます。

具体的な計算式

相続税の計算は、以下の手順で行います。

① 課税遺産総額 = 遺産総額 − 基礎控除額
② 法定相続分で分割
③ 各人の税額 = 分割額 × 税率 − 控除額
④ 相続税の総額 = 各人の税額の合計
⑤ 実際の相続割合で按分

計算例:遺産総額1億円・配偶者と子2人

ステップ1:課税遺産総額を求める

  • 遺産総額:1億円
  • 基礎控除額:3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円
  • 課税遺産総額:5,200万円

ステップ2:法定相続分で分割

  • 配偶者:5,200万円 × 1/2 = 2,600万円
  • 子1人:5,200万円 × 1/4 = 1,300万円
  • 子2人:5,200万円 × 1/4 = 1,300万円

ステップ3:各人の税額を計算

  • 配偶者:2,600万円 × 15% − 50万円 = 340万円
  • 子1人:1,300万円 × 15% − 50万円 = 145万円
  • 子2人:1,300万円 × 15% − 50万円 = 145万円

ステップ4:相続税の総額

340万円 + 145万円 + 145万円 = 630万円

実際には、ここから配偶者控除などを適用して最終的な納税額を算出します。

相続税早見表|遺産額別のシミュレーション

家族構成別・遺産総額別の相続税早見表

以下は、配偶者控除を法定相続分で適用した場合相続税の目安です。

遺産総額配偶者+子1人配偶者+子2人配偶者+子3人子のみ2人
5,000万円40万円10万円0円80万円
7,000万円160万円113万円88万円320万円
1億円385万円315万円263万円770万円
1.5億円920万円748万円665万円1,840万円
2億円1,670万円1,350万円1,218万円3,340万円
3億円3,460万円2,860万円2,540万円6,920万円
5億円7,605万円6,555万円5,963万円1億5,210万円

※配偶者控除(1億6,000万円または法定相続分)を適用した場合の概算額です。

シミュレーション事例①:遺産5,000万円

家族構成:配偶者、子2人(計3人)

  • 基礎控除額:4,800万円
  • 課税遺産総額:200万円
  • 配偶者控除適用後の納税額:約10万円

シミュレーション事例②:遺産1億円

家族構成:配偶者、子2人(計3人)

  • 基礎控除額:4,800万円
  • 課税遺産総額:5,200万円
  • 配偶者控除適用後の納税額:約315万円

シミュレーション事例③:遺産2億円

家族構成:配偶者、子2人(計3人)

  • 基礎控除額:4,800万円
  • 課税遺産総額:1億5,200万円
  • 配偶者控除適用後の納税額:約1,350万円

小規模宅地等の特例と生命保険の非課税枠

小規模宅地等の特例とは

自宅や事業用の土地について、評価額を最大80%減額できる特例です。

対象となる土地:

  • 居住用宅地:330㎡まで80%減額
  • 事業用宅地:400㎡まで80%減額
  • 賃貸用宅地:200㎡まで50%減額

例:自宅の土地5,000万円(300㎡)の場合

  • 特例適用後:5,000万円 × 20% = 1,000万円で評価
  • 4,000万円の減額効果

適用には細かな要件があるため、専門家への相談をおすすめします。

生命保険金の非課税枠

生命保険金には、以下の非課税枠があります。

非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数

例:法定相続人が3人の場合

  • 非課税枠:500万円 × 3人 = 1,500万円
  • 保険金2,000万円を受け取った場合
    → 課税対象:2,000万円 − 1,500万円 = 500万円

生命保険を活用することで、相続税の節税効果が期待できます。

相続開始前3年以内の贈与加算

2024年の税制改正により、相続開始前7年以内の贈与が相続財産に加算されるようになりました。

  • 相続開始前3年以内:全額を相続財産に加算
  • 相続開始前4~7年:総額100万円を控除した金額を加算

例:

  • 2年前に子に500万円贈与
  • 1年前に子に300万円贈与
  • → 合計800万円を相続財産に加算

「生前贈与のつもりだった」が課税対象になるケースも多いので要注意です。

自分で計算する際の注意点とよくある間違い

国税庁ツールの限界

「国税庁の相続税計算シミュレーション」で概算できますが、以下は反映されません:

  • 小規模宅地等の特例
  • 相続開始前3年以内の贈与加算
  • 二次相続を考慮した節税比較
  • 土地の評価減(借地権・セットバック・高低差等)

よくある計算ミス5選

❌ ミス1:名義預金を財産に含めていない

親の口座を子名義で管理していた預金は、相続財産に含まれます。

❌ ミス2:生前贈与の3年加算を忘れる

死亡前3年以内の贈与は相続財産に加算されます。

❌ ミス3:小規模宅地特例の適用要件を誤解

「自宅に住んでいれば適用される」と思い込むケースが多いですが、細かな要件があります。

❌ ミス4:土地評価を固定資産税評価額で計算

相続税評価額は、固定資産税評価額とは異なります。路線価または倍率方式で計算する必要があります。

❌ ミス5:配偶者控除を使いすぎて二次相続で損

配偶者控除は便利ですが、使いすぎると配偶者が亡くなったときに子どもの税負担が大きくなります。

過少申告のリスク

誤って過少申告すると、追徴課税・延滞税・加算税が発生する恐れがあります。

また、申告書の添付資料(評価明細書・登記簿謄本・路線価計算書)なども正確性が求められます。

専門家に依頼すべきケース

次のようなケースでは、専門家に依頼することを強くおすすめします。

  • 不動産が複数ある
  • 遺産総額が1億円以上
  • 事業用資産がある
  • 相続人が複数で分割協議が難航している

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まとめ|相続税計算で損しないための3つのポイント

相続税の計算は複雑ですが、基本を押さえれば自分でも試算できます。ここで重要な3つのポイントをおさらいします。

ポイント1:基礎控除・特例を最大限活用する

相続税の計算では、「基礎控除」「配偶者控除」「小規模宅地等の特例」を漏らさず適用することが重要です。これらの控除・特例を正しく使えば、納税額を大幅に減らせます。

ポイント2:シミュレーションは「目安」と理解する

国税庁や民間のシミュレーションツールは便利ですが、あくまで概算です。実際の申告では、個別の財産評価と控除の適用が必要になります。

ポイント3:早めの準備と専門家への相談

相続税の申告期限は、相続開始から10か月以内です。期限を過ぎると延滞税や加算税の対象になることもあります。早めの準備が、余計な税負担を防ぐ最大のポイントです。

相続税の正しい計算は、家族を守る第一歩。ご自身で試算してみて不安があれば、専門税理士にご相談ください。

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FAQ|相続税の計算方法でよくある質問

Q1. 相続税の計算方法を簡単に教えてください

A. 相続税の計算は3ステップで行います。①相続財産の総額を出す、②基礎控除や各種控除を差し引く、③税率をかけて相続税を計算する。基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。

Q2. 相続税はいくらから課税されますか?

A. 家族構成によって異なります。配偶者と子2人なら4,800万円まで非課税、配偶者と子1人なら4,200万円まで非課税です。基礎控除額を超えた部分にのみ相続税が課税されます。

Q3. 相続税の税率は何%ですか?

A. 相続税率は10%~55%の累進課税です。課税遺産総額が1,000万円以下なら10%、3億円を超えると45%、6億円超で55%となります。金額が大きいほど税率が高くなります。

Q4. 相続税計算シミュレーションはどこで使えますか?

A. 国税庁の「相続税の申告要否判定コーナー」や、民間の税理士法人が提供するシミュレーターが利用できます。ただし、あくまで概算であり、小規模宅地特例や土地の詳細評価は反映されないため、正確な計算には専門家への相談が必要です。

Q5. 配偶者は相続税がかからないと聞きましたが本当ですか?

A. 配偶者には「配偶者控除(配偶者の税額軽減)」があり、1億6,000万円または法定相続分のいずれか多い金額まで相続税がかかりません。ただし、使いすぎると二次相続で子どもの税負担が増えることもあります。

Q6. 子供はいくらまで相続税が無税ですか?

A. 家族構成によって異なります。配偶者あり・子2人なら4,800万円まで、配偶者なし・子2人のみなら4,200万円まで無税です。子が1人増えるごとに600万円ずつ基礎控除が増えます。

Q7. 自分で相続税を計算できますか?

A. 基本的な計算は可能ですが、小規模宅地等の特例、生前贈与の3年加算、土地の詳細評価などは複雑です。誤って過少申告すると追徴課税のリスクもあるため、不安な場合は税理士に相談することをおすすめします。

Q8. 不動産があると相続税が高くなりますか?

A. 不動産は相続税評価額が高くなりやすく、基礎控除を超える可能性が高まります。ただし、「小規模宅地等の特例」を使えば自宅敷地の評価額を最大80%減額できるため、節税効果は大きいです。

Q9. 生命保険金は相続税の対象になりますか?

A. 生命保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。この非課税枠を超えた部分が相続財産として扱われ、基礎控除額と比較されます。

Q10. 相続税の申告期限はいつまでですか?

A. 相続税の申告期限は、相続開始(被相続人が亡くなった日)の翌日から10か月以内です。期限を過ぎると延滞税や加算税が課される可能性があるため、早めの準備が重要です。

Q11. 相続放棄すると基礎控除額が減りますか?

A. いいえ、相続放棄をしても基礎控除額は変わりません。相続税法では、相続放棄をした人も法定相続人として数えるルールになっています。

Q12. 相続税の計算で一番間違いやすいポイントは?

A. 「名義預金」を相続財産に含め忘れることが最も多い間違いです。親の口座を子名義で管理していた預金は、実質的に親の財産とみなされ、申告漏れで追徴課税されるリスクがあります。

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この記事は、広島の相続税専門税理士事務所「ラクソウ」の代表税理士・藤本敦子が監修しています。相続税申告でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

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