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【2025年最新】相続税の申告とは?専門税理士が仕組み・計算・控除・申告方法まで徹底解説

相続税の申告とは?仕組み・控除・計算方法・手続きの流れを税理士がわかりやすく解説

相続税の申告とは、亡くなった方の財産を引き継いだときに行う、税金の手続きのことです。


現金や不動産(土地・建物)有価証券(株式・投資信託等)などを相続した場合、ご遺族が受け取る生命保険が一定の金額を超えると、国に対して申告と納税が必要になります。

誰が、いつ、どんな財産に対して税金を払うのかは、条件によって大きく変わります。

本記事では、相続税について正しく理解し、申告の準備や対策を始めたいと考える方に向けて、基本的なしくみから申告の流れ、控除や特例まで、わかりやすく解説しています。

  • 相続税のしくみと、税金がかかる条件
  • 相続税の対象となる財産と非課税財産の違い
  • 基礎控除の計算方法と、課税対象額の考え方
  • 相続税の計算手順と税率の仕組み
  • 配偶者控除や小規模宅地等の特例などの控除制度
  • 相続税の申告が必要なケースと申告手続きの流れ
  • 税務調査のリスクや、調査が入りやすい事例
  • 生前贈与や不動産活用などの節税対策

相続税の知識がない方でも理解できるよう、専門的な内容もできるだけやさしく丁寧に解説しています。読み終えるころには、相続税申告に必要な基礎知識と準備の流れがしっかりと身につく内容になっていますので、ぜひ参考にしていただければ幸いです。

執筆者
藤本 敦子

相続税専門税理士 / ラクソウ代表

藤本 敦子

中国税理士会 広島西支部所属:登録番号139011。広島県出身。横浜国立大学卒業後、監査法人トーマツ入所。2018年に税理士登録し、相続税の申告を専門に取り扱う税理士事務所を設立。相続税申告、相続対策、コンサルティングなど、資産税業務が得意。

■保有資格
税理士(登録番号:第139011号) 公認会計士(試験合格)

■経歴
広島 ノートルダム清心高等学校 卒業 横浜国立大学 経営学部 卒業 有限責任監査法人トーマツ 入所 藤本敦子税理士事務所 / ラクソウ 設立

■得意分野
相続税の申告 生前贈与・遺言書のサポート 小規模宅地等の特例・土地評価の最適化 二次相続・事業承継の税務アドバイス

■執筆への想い
相続は、人生の中でも数少ない、そして非常に重たい出来事のひとつです。 不安や悩みを抱える方に、少しでも安心して一歩を踏み出してもらえるよう、税理士として専門的な視点から、丁寧でわかりやすい情報発信を心がけています。

相続税とは?

相続税は、「人が亡くなったあとに残した財産を家族などが受け取ったときにかかる税金」のことです。対象になる財産は、現金や預金はもちろん、不動産(土地・建物)、有価証券(株式・投資信託等)や車など、値段のつくもの全てです。ただし、誰にでもかかるわけではありません。財産が一定の金額以下であれば、相続税はかかりません。この一定の金額のことを「基礎控除」といいます。相続税は、亡くなった人がどれだけ財産を持っていたかによって、かかるかどうかが決まるしくみです。

相続税の基本的な仕組み

相続税を計算するときは、まず亡くなった人の財産の全てを確認します。ここには、家や土地、預金、株などが含まれます。そのあと、借金や葬儀費用などを引き算して、残った金額に「基礎控除」を差し引きます。この控除を引いたあとの金額が、相続税の対象になります。相続する人がもらう財産の金額に応じて、税率が変わる「累進課税」が使われていて、もらう金額が大きい人ほど税金も高くなる仕組みになっています。

どんなときに相続税がかかるのか

相続税がかかるのは、亡くなった人の財産の合計が、基礎控除を超えているときです。たとえば、家族が3人いれば、基礎控除は「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」になります。もし、すべての財産を合計して5,000万円だった場合、4,800万円を超えた200万円に対して税金がかかる、という仕組みです。逆に、財産が4,800万円以下なら、相続税はかかりませんし、申告もしなくて大丈夫です。

法定相続人の
人数
基礎控除額
1人3,600万円
2人4,200万円
3人4,800万円
4人5,400万円

相続税がかかる人・かからない人

相続税がかかる人は、もらった財産の合計が基礎控除より多い場合です。逆に言えば、相続する財産が基礎控除の範囲内におさまっていれば、税金はかからず、申告もしなくていいことになります。日本では、相続税が実際にかかる人は全体の1割ほどとも言われています。相続税が必要かどうかを知るには、「どれくらいの財産をもらったか」「借金があるか」「相続人が何人いるか」などを整理することが大切です。

相続税と贈与税の違い

相続税と贈与税は、どちらも財産をもらったときにかかる税金ですが、違いは「もらうタイミング」です。相続税は、亡くなった人から財産をもらったときにかかります。贈与税は、生きている人から財産をもらったときにかかるものです。また、税金のしくみも少し違っていて、贈与税の方が税率が高めになっています。ただし、一定の条件を満たせば「相続時精算課税制度」といって、贈与を将来の相続としてまとめて計算する制度も使えます。

項目相続税贈与税
タイミング死後に財産を受け取るとき生前に財産をもらうとき
非課税枠基礎控除(3,000万+600万×相続人)年間110万円まで
税率10〜55%(累進)10〜55%(累進)

相続税の対象となる財産

相続税は、亡くなった方の財産を引き継ぐ際に課される税金ですが、実はすべての財産が対象になるわけではありません。現金や不動産のように明確に課税対象となるものもあれば、生命保険の一部や墓地のように非課税とされる財産もあります。また、名義が本人でなくても相続税の対象になるみなし相続財産と呼ばれるものも存在します。
この章では、どのような財産が相続税の課税対象になるのか、対象外となる財産は何かについて、分かりやすく解説していきます。

課税対象になる財産(現金・不動産・有価証券など)

相続税の課税対象となる財産には、大きく分けて「金銭的な価値を持つもの」が含まれます。たとえば現金や預金、不動産(自宅や賃貸物件、土地など)、有価証券(株式や投資信託)、自動車、美術品などが該当します。また、貸付金や未収金など、受け取る権利がある債権も相続財産に含まれます。これらはすべて「被相続人が死亡時点で所有していたもの」として評価され、その合計額が基礎控除額を超えると相続税が課されます。なお、それぞれの財産には評価方法が定められており、不動産であれば路線価や固定資産税評価額、有価証券であれば時価などが基準になります。

財産の種類具体例評価方法の概要
現金・預貯金普通預金・定期預金残高そのまま
不動産自宅・賃貸用物件路線価×面積 or 固定資産税評価額等
有価証券株式・投資信託など相続発生日の終値ベースなど
自動車自家用車中古車販売価格を基に時価評価
貸付金被相続人からの貸付金額面どおり

非課税財産(生命保険・墓地など)

一方で、一定の条件を満たす財産については、相続税の課税対象から除外される非課税財産として扱われます。代表的なものが、生命保険金の一部と死亡退職金です。これらは「法定相続人1人あたり500万円」まで非課税となります。また、お墓や仏壇、位牌などの祭祀財産、宗教用具、日常生活に通常必要とされる家具や衣類なども非課税財産として認められます。非課税財産を正確に把握することで、相続税の負担を軽減できる場合がありますので、申告時には漏れなく整理することが重要です。

みなし相続財産とは

みなし相続財産とは、被相続人の死亡によって取得したものの、民法上の相続財産ではないもののうち、相続税の課税対象とされるものを指します。代表例として、生命保険金(契約者が被相続人の場合)や死亡退職金が挙げられます。これらは被相続人の死亡を原因として支払われるため、実質的には財産の一部とみなされ、相続税が課されます。ただし、先述のとおり、法定相続人1人あたり500万円までは非課税になるため、適用要件を理解して活用することがポイントです。みなし相続財産は漏れがちな項目でもあるため、税理士など専門家の確認を受けるのがおすすめです。

財産の名義と課税対象の関係

相続税では、財産の「名義」だけでなく、「実質的な所有者」が誰であるかが重要視されます。たとえば、名義が子どもになっている預金口座であっても、実際にお金を出し入れしていたのが被相続人である場合、その預金は名義預金とされ、相続財産に加算される可能性があります。逆に、他人名義であっても実質的に被相続人(亡くなった方)が所有・使用していた財産については、課税対象として取り扱われることがあります。名義だけで判断せず、資金の出所や実際の使用状況などを丁寧に確認する必要があります。

相続人の範囲と割合

相続が発生した際、誰がどの程度の財産を受け取るのかは、相続人(財産を受け継ぐ人)の範囲とその法的な割合によって決まります。相続人には法定相続人と呼ばれる基本的な枠組みがあり、被相続人(亡くなった方)との続柄や状況に応じて順位や割合が法律で定められています。また、相続人が複数いる場合の分け方や、養子・内縁の配偶者・認知された子のようなケースでは取り扱いが複雑になることも。ここでは、相続人の範囲と法定相続分の基本ルールを、具体的な事例も交えながらわかりやすく解説します。

法定相続人とは誰のことか

法定相続人とは、民法により相続の権利が認められている人を指します。一般的には、配偶者は常に相続人となり、その他に被相続人の子、親、兄弟姉妹などが続柄によって順位付けされています。
たとえば、被相続人(亡くなった方)に子がいる場合は、子が第1順位の相続人となり、親や兄弟は相続権を持ちません。子がいない場合は、親が第2順位、親も亡くなっていれば兄弟姉妹が第3順位となります。養子や認知された子も条件を満たせば法定相続人となりますが、内縁の配偶者には法定相続権が与えられていない点に注意が必要です。

相続順位と相続分の基本ルール

法定相続人の順位は、相続が発生したときに誰が相続人になるかを決める重要なルールです。第1順位は「子」、第2順位は「直系尊属(親など)」、第3順位は「兄弟姉妹」、配偶者は常に相続人になります。
相続分の割合も民法で定められており、たとえば配偶者と子が相続人の場合、配偶者が1/2、子が残り1/2を人数で均等に分けます。もし相続人が配偶者と親であれば、配偶者が2/3、親が1/3となります。
このように、相続人の組み合わせによって相続分が変化する仕組みです。

相続人が複数いる場合の分け方

相続人が複数いる場合、基本的には法定相続分に従って遺産を分け合いますが、現実には被相続人の遺言や遺産の内容に応じて「遺産分割協議」を行うことが一般的です。たとえば不動産など分けにくい財産がある場合は、共有や換価分割(売却して現金で分ける)を選ぶことも。相続人全員の合意が必要なため、協議がまとまらないと「遺産分割調停」や「審判」に発展することもあります。相続人同士の関係性や、財産の種類・金額によって分割方法の選択は慎重に行う必要があります。

養子・内縁・認知された子の扱い

養子は、実子と同じように法定相続人として扱われますが、「養子縁組の種類」によって少し異なります。普通養子であれば養親と実親の両方から相続権を持ちますが、特別養子は実親の相続権を失います。一方、内縁の配偶者は法律上の婚姻関係にないため、原則として法定相続人にはなりません。ただし、生前に財産を受け取る「遺贈」や、遺言の活用で対応可能です。認知された子は、婚外子であっても認知されていれば実子と同様に相続権を持ちます。状況によって相続資格の有無が変わるため、事前の確認が大切です。

相続税の基礎控除と課税対象額の出し方

相続税の申告が必要かどうかは、まず基礎控除という制度を理解することから始まります。

相続が発生した際、被相続人(亡くなった方)の財産のうち、一定額までは相続税がかからない仕組みになっており、それが基礎控除です。

この制度は、遺された家族の生活を守るために設けられており、金額は相続人(財産を受け継ぐ人)の人数によって決まります。実際に相続税がかかるかどうかは、財産の総額からこの控除額を差し引いた”課税対象額”によって判断されます。

この記事では、相続税の基礎控除の計算方法や課税対象となる条件、またよくある誤解や注意点について、丁寧に解説します。

基礎控除の計算式(3,000万円+600万円×法定相続人)

相続税の基礎控除額は、以下の計算式で求められます。

たとえば、被相続人(亡くなった方)に配偶者と子供2人がいる場合、法定相続人(財産を受け継ぐ人)は3人となり、基礎控除額は3,000万円+600万円×3=4,800万円です。この金額以下であれば、相続税の申告は原則不要となります。

法定相続人には、相続放棄をした人も含めて計算する点に注意が必要です(ただし実際に控除額として使えるかは異なります)。また、相続人がいない場合や特定の事情があるときは、控除の取り扱いが異なることもあるため、国税庁の情報も参照しましょう。

引用:国税庁『相続税のあらまし』

基礎控除額の例

法定相続人の
人数
基礎控除額の
計算式
控除額
1人3,000万円+600万円×13,600万円
2人3,000万円+600万円×24,200万円
3人3,000万円+600万円×34,800万円
4人3,000万円+600万円×45,400万円

控除後に課税される条件とは

基礎控除額を差し引いたあとの財産が課税遺産総額です。この金額が0円以下であれば、相続税の申告は原則として不要です。逆に、この金額が1円でもプラスであれば、相続税の申告義務が発生します。ただし、実際に税金を支払う必要があるかどうかは、各種控除や特例(配偶者控除、小規模宅地等の特例など)を適用したうえで判断されます。

また、生命保険金や退職金の一部など、相続財産に含まれないように見えても、”みなし相続財産”として課税対象となることもあります。これらを含めて計算すると、想定以上に相続税の対象となることがあるため、財産の棚卸しと試算が重要です。

全財産の把握

基礎控除額の計算

課税対象額が出たら申告義務

控除の誤解と注意点

相続税の基礎控除については、”5,000万円までは非課税”といった誤解が根強くあります。これは以前の制度の名残で、2015年(平成27年)の税制改正以降、控除額が大きく引き下げられました。そのため、都市部に不動産を所有している家庭などでは、基礎控除を超えるケースが増加傾向にあります。

また、控除額は”一人当たり”ではなく”相続全体”に対するものであり、人数が増えると控除額が増えるという仕組みです。たとえば、子供が2人いれば控除額は増えますが、財産総額がそれ以上に多ければ課税対象となる可能性も十分にあります。

配偶者がすべての財産を相続するケースでは、”配偶者控除”が適用されれば実質的に非課税となることもありますが、申告そのものは必要なケースもあるため油断は禁物です。税務署とのトラブルを避けるためにも、早めに相続専門の税理士に相談するのが安心です。

相続税の計算方法

相続税は、遺産の総額や相続人の人数によって大きく変わるため、正確な計算が非常に重要です。この記事では、課税遺産総額の求め方を例付きで解説し、相続税率の仕組みや早見表の使い方にも触れながら、実際に5,000万円・1億円・2億円のケース別試算を紹介します。相続税の仕組みをしっかり理解したい方に向けた実践的なガイドです。

課税遺産総額の求め方(例付き)

課税遺産総額は、相続税の計算の出発点となる金額です。まず、相続によって得た財産の合計額を算出し、ここから非課税財産(例えば、死亡保険金の非課税枠や墓地・仏具など)を差し引きます。次に、借金や未払医療費、葬儀費用などを控除し、最後に相続時精算課税制度を使って贈与を受けていた財産があれば加算します。たとえば、総財産が1億円で、非課税財産が1,000万円、債務と葬儀費用が1,500万円の場合、課税遺産総額は7,500万円になります。

相続税率の一覧と累進課税制度

相続税は、取得金額に応じて税率が高くなる「累進課税制度」が採用されています。税率は10%〜55%の7段階に分かれており、課税遺産総額から各人の法定相続分をもとに個別に計算されます。たとえば、取得額が1,000万円以下なら税率10%、3,000万円超であれば20%、1億円を超えると税率は30%以上に跳ね上がります。さらに、税率ごとに「控除額」も設定されており、単純な掛け算ではない点が注意です。

課税取得金額
(各人)
税率控除額
1,000万円以下10%0円
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
3億円超55%4,000万円

相続税早見表の使い方と注意点

相続税早見表は、課税取得金額ごとの税率と控除額を一覧で確認できる便利なツールです。使い方は簡単で、まず相続人ごとの課税取得額を算出し、早見表の該当区分を確認します。

例えば、取得額が5,000万円なら税率20%、控除額は200万円となり、5,000万円×20%−200万円=800万円が相続税額です。

ただし、早見表は「課税遺産総額」から各人の法定相続分で割り振った額が前提であるため、分割方法によって実際の税額が変わる点に注意が必要です。

実例:5,000万円/1億円/2億円のケース別試算

相続税は、課税遺産総額を法定相続人の人数で按分し、それぞれに税率を適用して計算します。

たとえば法定相続人が配偶者と子1人の「2人」の場合、基礎控除額は「3,000万円+600万円×2人=4,200万円」となり、これを超える部分に課税されます。

遺産総額基礎控除後の
課税遺産総額
各人の取得額税率控除額相続税総額
(概算)
5,000万円800万円400万円10%0円約80万円
1億円5,800万円2,900万円15%50万円約820万円
2億円1億5,800万円7,900万円30%700万円約2,960万円

相続税の控除・特例制度

相続税には、一定の条件を満たすことで税負担を軽減できる「控除」や「特例制度」が設けられています。配偶者や同居親族が相続する場合、自宅や事業用地の評価が大きく減額されるケースもあります。また、未成年者や障害者のように生活支援が必要な相続人には税額控除が適用されるなど、状況に応じた措置が用意されています。さらに、短期間に複数回の相続が発生した場合や、生前に贈与を受けていた場合も、相続税から一定額を控除できる制度があります。これらの制度を正しく理解し活用することは、節税だけでなく、家族の安心にもつながります。

配偶者控除の適用条件と計算例

配偶者が相続する財産については、「1億6,000万円」または「法定相続分の金額」のいずれか多い方まで相続税がかからない「配偶者の税額軽減(配偶者控除)」が適用されます。

たとえば、夫が亡くなり、遺産が1億8,000万円で法定相続人が配偶者と子1人の場合、配偶者が1億6,000万円を相続すれば非課税となります。

ただし、税額軽減を受けるには相続税申告書を提出し、適用要件を満たすことが必要です。申告しなければ非課税にはなりませんので注意しましょう。

小規模宅地等の特例の対象と使い方

「小規模宅地等の特例」は、自宅や事業用の土地について相続税評価額を最大80%まで減額できる制度です。

たとえば、1億円の自宅土地が2,000万円の評価になることもあります。

対象となるのは、配偶者や同居していた親族などで、相続後も居住や事業を継続していることが条件です。また、相続税の申告期限内に「小規模宅地等の特例適用書類」を添付して申告する必要があります。申告をしなければ適用されないため注意しましょう。

未成年者控除・障害者控除とは?

未成年者控除と障害者控除は、相続人の将来の生活保障を目的とした税額控除です。

控除の
種類
対象となる人計算式具体例控除額
未成年者控除20歳未満の相続人(20歳 − 年齢) × 10万円15歳の場合 → (20−15)×10万円50万円
障害者控除障害者(85歳未満)(85歳 − 年齢) × 10万円70歳の障害者 → (85−70)×10万円150万円
特別障害者控除特別障害者(85歳未満)(85歳 − 年齢) × 20万円60歳の特別障害者 → (85−60)×20万円500万円

その他の控除(相次相続、贈与税額控除など)

「相次相続控除」は、10年以内に2回以上の相続が発生した場合に適用され、1回目の相続税の一部を2回目の相続税から差し引く制度です。また、「贈与税額控除」は、生前贈与を受けた相続人が、贈与分を相続で再度取得した場合に、支払済みの贈与税を相続税から差し引けます。これにより二重課税を防ぎます。いずれも計算が複雑で適用要件も細かいため、早めに税理士と相談し、適用可能かの確認が重要です。

相続税の申告と納付の流れ

相続税は「誰が」「いつまでに」「どうやって」申告・納付するかが明確に定められています。基礎控除を超える場合には、10ヶ月以内の申告が必要であり、提出書類も多く専門的です。特に、納付は現金一括が原則ですが、資金に余裕がない場合は「延納」や「物納」といった制度の活用も検討できます。この章では、申告義務の判断基準から、書類準備、期限管理、納付方法の選択肢まで、相続税の申告と納付に必要な情報を網羅的に解説します。

申告が必要なケースとは

相続税の申告が必要かは「課税遺産総額」が「基礎控除額」を超えるかで判断します。
基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人の数

例)相続人2人 → 4,200万円

課税対象には、現金・不動産・有価証券のほか、名義預金・死亡保険金・退職金なども含まれます。見落としやすい非課税枠超の財産を正確に把握することが、申告漏れや税務調査の回避に直結します。

必要書類一覧(戸籍謄本・遺産目録など)

相続税の申告には、被相続人や相続人に関する書類、財産に関する書類が必要です。
主な書類は以下の通り:

  • 戸籍謄本(出生〜死亡)
  • 相続人の住民票・印鑑証明
  • 遺産目録
  • 不動産の登記簿謄本・評価証明書
  • 預金残高証明書・通帳コピー
  • 生命保険金支払証明書

書類取得には時間がかかることも多いため、チェックリストを作成して早めに準備を始めることが重要です。

申告期限と納付期限の厳守ポイント

相続税の申告と納付の期限は「死亡日の翌日から10ヶ月以内」です。

例)死亡日:2025年1月1日 → 申告・納付期限:2025年11月1日

この期限を過ぎると「加算税(10〜20%)」や「延滞税(年率2.4%前後)」が課される可能性があります。期限内でも申告不備や書類漏れがあると、税務署から指摘されることがあります。早期に財産評価・分割協議・書類準備を行い、期限を厳守する体制を整えましょう。

延納・物納の条件と手続き

相続税は原則として現金で一括納付ですが、納税資金が不足している場合には「延納」や「物納」の制度が利用できます。

項目延納物納
条件10万円超・困難な事情あり延納不可・不動産等の提出可能
期間最長20年(利子税あり)一括納付・審査あり
手続き申告と同時に申請+担保提出物件明細提出・税務署の許可必要

制度の利用には税理士のサポートが望ましく、事前準備が成功の鍵です。

税務調査と追徴課税のリスク

相続税の申告後、税務署は内容を精査し、不備や不自然な取引が見つかると税務調査に進む可能性があります。特に現金取引や名義財産、評価誤り、過去の贈与がある場合は要注意です。調査により申告漏れが指摘されると、追徴課税(加算税・延滞税)が発生します。こうしたリスクは、正しい申告と書類管理、そして税理士による事前確認によって大きく軽減できます。この章では、税務調査の入りやすいパターンからペナルティの内容まで、申告後の重要ポイントを整理して解説します。

税務調査が入りやすいケース

税務署は、以下のようなケースで調査対象を選定しています:

  • 現金・預貯金が多く名義が複雑
  • 過去に贈与歴があるが記録が曖昧
  • 評価が不自然な不動産がある
  • 遺産分割が成立していない
  • 相続人の1人が申告していない

特に「名義預金」「生命保険」「過去の多額の出金」などは高リスク。相続税専門の税理士がよく指摘するポイントです。

調査時にチェックされるポイント

税務調査で税務署が確認する主なポイントを下表にまとめました:

チェック項目内容例
名義財産子や配偶者名義の預金・保険など
不動産評価実勢価格との差が極端な場合
生前贈与の有無契約書がない、証拠が曖昧な贈与
財産の使途大きな現金引き出しの理由が不明確

事前に書類や証拠を整理しておくことで、調査時の指摘を減らすことができます。

申告漏れによるペナルティ(加算税・延滞税)

申告漏れが発覚した場合、下記のような追徴課税が課されることがあります:

税種内容・割合
過少申告加算税原則10%(悪質なら15%)
無申告加算税原則15%(重加算なら20%)
延滞税年率7.3%(2025年現在は約2.4%に軽減)

申告期限を守り、正確な計算と書類添付を行うことが最大の防止策となります。

修正申告・更正の請求のタイミング

申告後に誤りに気付いた場合は「修正申告」、税務署の判断に不服がある場合は「更正の請求」が可能です。

修正申告

  • 自主的に訂正
  • 加算税が軽減される可能性あり
  • 期限なし

更正の請求

  • 税務署の処分に異議を申し立てる
  • 申告期限から5年以内

いずれも証拠書類や理由が必要で、専門家のサポートを受けることで成功率が上がります。

相続税の節税対策と生前対策

相続税は事前の対策により、数百万円以上の節税が可能です。中でも「生前贈与」「不動産評価の圧縮」「家族信託」「養子縁組」などは、合法的な節税策として注目されています。これらの制度はタイミングや手続き方法により効果が大きく異なり、知らずに損することも少なくありません。本章では、検索需要の高い主要4つの対策をわかりやすく解説し、いつ・どのように活用するべきかを具体的に紹介します。

生前贈与の活用(暦年贈与・相続時精算課税)

生前贈与は最も活用されている節税策です。

暦年課税

年間110万円以内の贈与は非課税

相続時精算課税

2,500万円まで贈与税がかからず、相続時に精算

ただし、相続時精算課税は一度選ぶと変更できず、全贈与が課税対象になるため注意が必要です。どちらを選ぶかは贈与額・受贈者・将来の財産構成を踏まえて判断すべきです。

不動産活用による評価額の圧縮

相続財産に不動産が含まれる場合、評価方法によって課税額を大幅に下げることが可能です。

たとえば、賃貸中の建物や土地は「貸家建付地」や「借家権割合」が適用され、実勢価格よりも低い評価額になります。

また、居住用宅地については「小規模宅地等の特例」により最大80%の減額が受けられるケースもあります。評価減の活用は節税に直結する重要な対策です。

家族信託・養子縁組による節税戦略

家族信託は、認知症による財産凍結を防ぎつつ、将来の相続にも備えられる仕組みです。委託者・受託者・受益者を設定し、柔軟な財産管理が可能になります。また、養子縁組は法定相続人の数を増やすことで基礎控除額を拡大できるため、相続税の節税に有効です。

例)実子2人+養子1人 → 基礎控除額:3,000万+600万×3=4,800万円

事前に専門家に相談すべきタイミング

節税対策は早ければ早いほど選択肢が広がります。

相続財産に不動産や非上場株式がある
生前贈与を検討している
家族関係が複雑(再婚・内縁・疎遠な相続人)
認知症リスクがある
資金に余裕がない

上記に該当する方は、相続税に強い税理士へ早期に相談すべきです。タイミングを逃すと、特例の適用ができなくなる場合もあるため注意が必要です。

よくある質問と誤解

相続税に関する情報は複雑で、ネットや親族から聞いた情報が必ずしも正確とは限りません。誤解したまま手続きを進めると、申告漏れや不要な納税につながるおそれもあります。ここでは、検索されることの多い「相続税はいつから・いくらからかかるのか?」や「贈与税との違い」など、特に相談が多い2つの疑問を取り上げ、正しい知識をわかりやすく解説します。

相続税は「いくらから」かかる?

相続税がかかるかどうかは「基礎控除額」を超えるかで決まります。
計算式は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。

例)相続人が2人 → 3,000万円+600万円×2=4,200万円

相続財産がこれを超えた場合に相続税の申告・納付が必要になります。生命保険金や未分割の不動産なども課税対象に含まれるため、財産評価の見落としには注意しましょう。

相続税と贈与税はどちらが得?

一概に「どちらが得」とは言えません。

  • 生前に毎年110万円以下を贈与する場合は「暦年贈与」が有利
  • 高額な贈与は、相続税よりも贈与税の税率が高く不利になることも
  • 相続直前の贈与は「持ち戻し」され、相続税の対象に
  • 相続時精算課税制度の活用で贈与と相続を一体管理することも可能

財産の種類や将来の相続人構成によって判断が変わります。専門家に個別相談することがベストです。

税理士に依頼するメリット・費用感

相続税に強い税理士へ依頼することで、以下のようなメリットがあります:

  • 財産評価や控除適用の最適化
  • 節税効果の最大化
  • 税務署対応の代行
  • 書類収集のサポート

費用は申告内容により異なりますが、相続財産5,000万円〜1億円規模で「20〜50万円」が相場です。財産が複雑な場合や土地評価が多いケースでは、追加費用がかかることもあります。

「遺言書があれば税金が安くなる」は本当?

遺言書があることで「税額そのもの」が直接安くなるわけではありません。ただし、遺産分割が円滑に進み、配偶者控除や小規模宅地の特例など、各種の節税制度を正しく適用しやすくなります。結果として、節税効果を最大限に引き出す手助けになるのです。また、争続を防ぎ、専門家による申告サポートも受けやすくなるため、相続税対策として遺言書は非常に有効といえます。

まとめ・お問い合わせ

ここまで相続税の申告・対策に関する基本情報を解説してきました。相続は突然訪れ、準備不足や誤解によって、不要な納税やトラブルに発展することも少なくありません。大切なのは「今できる準備を確実に進めること」です。この章では、相続対策を始めたい方に向けて、すぐに実践できる3つの行動と、専門家選びのポイント、そして無料相談への導線をご紹介します。

今すぐ行うべき3つの準備とは?

相続に備えて、すぐに始められる準備は以下の3つです:

財産目録の作成

不動産、預貯金、有価証券などを一覧化

相続人の確認

戸籍で法定相続人を洗い出す

過去の贈与履歴の整理

非課税枠を正しく活用する準備

これらを行うことで、相続発生時に慌てず、スムーズな申告・分割が可能になります。

相続税対策に強い税理士を選ぶポイント

税理士選びで重要なのは「相続税申告の実績」と「説明のわかりやすさ」です。

過去の相続税申告件数が豊富か
節税提案や二次相続対策まで対応できるか
報酬体系が明確か(成功報酬・定額制など)
初回相談が無料かどうか

口コミだけでなく、複数人に相談し、自分と相性のよい税理士を選ぶことが成功の鍵です。

無料相談・面談予約はこちら

相続税の不安や疑問は、一人で悩まず専門家に相談しましょう。
税理士法人ラクソウでは、相続税に特化した税理士が対応し、初回60分の無料相談を実施しています。

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